ノウハウ
ママ向けの広告クリエイティブのコツは?媒体・広告の基礎知識と制作のポイントを解説
2024年1月15日
子どもやファミリー向けのサービスや商品を販売するとき、マーケティング戦略面から、ママに受け入れられやすいクリエイティブを用いた広告が制作されやすい傾向があります。
これは、ママがプチプラ家電や食材、日用品などの消費(購買)決定権を多く持つことに起因しており、サービス・商品のビジュアルとターゲットの興味関心を合致させることでユーザーアクションにつなげる戦略によるものです。
特に、育児・家事・仕事と1日のタスクが山積みの子育て期ママへのアプローチには、わずかな余暇時間で情報を伝えることが重要です。また、余暇時間に適した情報伝達方法としてはインターネット広告が欠かせません。
この記事では、インターネット広告の基礎知識に加え、ママ向け広告を制作する上で大切にしたいことを解説していきます。
目次
ママ向け広告はママユーザーが多い媒体での出稿が基本
ターゲットがママである場合でも、インターネット広告媒体はママユーザーが多いものであることが重要です。
基本的にユーザーは各媒体単位で抱えている数が最大値です。媒体に対象ユーザー(ママ)が多いほど、広告のインプレッションやクリックの母数や可能性が高まるため、「対象ユーザーへの最大値数以内リーチ数/リーチ後にアクションさせる仕掛け/アクション後にコンバージョンさせる仕掛け・導線」の設計が肝要です。
そのうえで、対象ユーザーの興味関心を惹くクリエイティブを作成します。なお、出稿の主な流れは以下の通りです。
▼出稿の主な流れ
- ターゲット選定
- 媒体資料でユーザー数や属性、月間閲覧数、出稿メニュー、出稿費、入稿サイズ、入稿規約等を確認
- 対象ユーザーがアクションしてからコンバージョンに至るまでの導線を設計
- 対象ユーザーへのリーチ数、コンバージョン数等の想定数を試算
- 4の想定数を向上させる仕組み(媒体内のオプションメニュー実施可否や自社サイト内での特典等)を検討
- 対象ユーザーの趣味嗜好に沿った広告クリエイティブを作成
- 広告クリエイティブ入稿
- 広告配信開始
- 分析・改善
広告の区分と、インターネット広告の種類
広告の打ち出し方には「純広告」「ネイティブ広告」の2つの区分があり、広告の種類にはさまざまなものがあります。
広告の区分(純広告とネイティブ広告)
広告の区分には、媒体の広告枠を買い取って掲載する「純広告」と、Webサイト内のコンテンツの一部のように見せる「ネイティブ広告」があります。
純広告は特定の媒体の広告出稿枠に出稿し、一定の期間や広告表示回数に対し、料金(広告費)を支払い掲載を行うものです。ネイティブ広告は広告であることを明確にした上で、広告に見えないような切り口などでコンテンツを作成するもので、広告費に加えて制作費が発生することが多くあります。
なおネイティブ広告は、記事広告やタイアップ広告、PR記事等とも呼ばれます。インターネット広告が台頭する以前より存在し、TVや新聞、雑誌やフリーペーパー等でよく見られていました。現在ではWebサイトやアプリのディスプレイ広告等とセットで販売されることもあります。
インターネット広告の種類
広告ではインターネット広告以外はすべてオフライン広告として扱われ、インターネット広告はオンライン広告ともいわれます。主なインターネット広告の種類は、媒体(メディア)によりさまざまな形式があります。
リターゲティング広告 | ・追跡型広告とも呼ばれ、ユーザーのオンライン行動を追跡し、ユーザーの興味関心性の高い広告を表示する手法 ・一度自社のWebサイトに来訪したユーザーを追いかけ、広告を表示させられるため成果(コンバージョン)を出しやすい傾向 ・広告が表示されたり、クリックされたりすると費用が発生 |
リスティング広告 | ・検索連動型広告とも呼ばれ、検索エンジンを利用した際に検索結果画面に掲載されるテキストで作られた広告 ・ユーザーの検索行動に対して広告が掲載されるため、費用対効果が高い傾向 ・最低出稿額は定められていないか1日1,000円程度で、予算に応じた自由設定が可能 ・広告がクリックされると費用が発生 |
ディスプレイ広告 | ・コンテンツ連動型広告とも呼ばれ、Webサイト、アプリ、ソーシャルメディアなどの媒体の広告出稿枠に表示されるバナー形式の広告 ・バナーはテキスト、画像、動画、および音声で作成 ・出稿額は媒体により異なる。または広告が表示されたり、クリックされたりすると費用が発生 |
アドネットワーク広告 | ・複数の広告媒体(WebサイトやSNS、ブログ等)を集め、一括配信ができる広告配信ネットワークのこと ・出稿や入札を行うだけで、ネットワーク傘下の媒体に大量出稿が可能 ・ただし出稿媒体を選定できないため、ターゲット外の媒体に出稿されることがある |
DSP(Demand Side Platform) | ・アドネットワークや個別媒体などを網羅的に一元管理し、広告効果の最適化をはかるツールのこと ・SSPと呼ばれる媒体側のプラットフォームと連携し、広告枠の買い付けや入札、配信、クリエイティブ等の分析と最適化を自動で行う ・広告が表示されたり、クリックされたりすると費用が発生 ・媒体出稿費以外にツールの利用費やツールの運用工数が発生 |
SNS広告 | ・X(旧Twitter)やInstagram、Facebook、LINE、YouTube、TikTokなどの各SNSプラットフォームで配信される広告 ・ユーザーがSNSアカウントを登録した際の個人情報や利用傾向に基づいた、精度の高いターゲティングが行える ・出稿枠にはタイムラインやストーリーズ、おすすめ欄など ・出稿額は媒体により異なり、広告が表示されたり、クリックされたりすると費用が発生 ・SNSにより主となるターゲット属性が異なるため、SNS選定が重要 |
デジタル音声広告 | ・オーディオアドとも呼ばれ、音楽配信サイトやインターネットラジオなどの音声媒体で出稿できる広告 ・曲と曲や、番組と番組の間に流れる ・再生開始後は広告をスキップできない仕様であることが多く、完全視聴率が高い ・出稿額は媒体により異なる。または広告視聴で費用が発生するもの、ユーザーアクション発生に伴い費用発生するもの等がある |
メールマガジン(メルマガ)広告 | ・メールマガジンに広告を掲載し、ユーザーへ配信する広告 ・テキストメール形式とHTML形式があり、HTML形式は画像や動画・イラストなど幅広いクリエイティブを使用可能 ・ユーザーがメールマガジンの購読を登録した際の個人情報に基づいて配信されるため、ターゲティング精度が高い ・出稿額は媒体により異なり、配信1通あたりの単価が設定されている ・配信先ユーザーの性別、年代、居住地等のスクリーニング条件が加わると、単価が上がる傾向 |
アフィリエイト広告 | ・成果報酬型広告とも呼ばれ、サイト運営者(アフィリエイター)が自身の媒体(ブログ、SNS等)に広告を任意掲載する手法 ・サイト運営者がブログやSNSなどの媒体に特定の広告リンクを設置し、特定の広告リンクを経由したユーザーが、広告主が定めた達成条件(資料請求、入会、購入など)を達成することで費用が発生 ・一般的にはアフィリエイト広告媒体を集約しているASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー)というサービスを介する ▼アフィリエイト広告の主な流れ ・広告主がASPに出稿 ・サイト運営者がASPに掲載されたアフィリエイト案件を選別し、広告主に広告提携申請を行う ・広告主が提携を承認する ・サイト運営者がブログやSNS等の媒体に広告(特定のリンクやバナー)を掲載 ・ユーザーがサイト運営者の媒体を訪問し、広告経由で成果を達成 ・広告主がサイト運営者に成果費を支払う |
リワード広告 | ・アフィリエイト広告の一種で、ユーザーに対して報酬を付与することで、広告の完全視聴を促す広告手法 ・報酬の一例には、買い物に利用可能なポイントやアプリ内での特典の付与などがある ・成果(コンバージョン)が発生すると、出稿費が発生 |
広告クリエイティブとは
広告クリエイティブとは、広告を運用するために用いられる制作物をいいます。広告媒体により、制作物の種別は異なります。
▼広告クリエイティブの形式例
- 新聞:グラフィックデザインデータ(ai、PSDなど)
- TV:動画データ(mp4、MOVなど)
- ラジオ:音声データ(mp3など)
- 雑誌:グラフィックデザインデータ(ai、PSDなど)
- 交通広告:グラフィックデザインデータ(ai、PSDなど)
- 折込広告:グラフィックデザインデータ(ai、PSDなど)
- インターネット(Web、SNS):グラフィックデザインデータ(ai、PSD、JPEG、PNGなど)
ママ向けの広告クリエイティブ制作ポイント
子育て期のママに向けた広告クリエイティブ制作にあたっては、いくつかの留意点があります。「ママ向けのデザインはこう作る!制作のポイントと流れ・成功事例を紹介」でも類似内容を確認いただけます。
- 画像は「子どもだけ」か「ママ+子ども」
- カラーは「暖色系」「柔らかく優しい色合い」「落ち着いた色」
- フォントは「繊細」「柔らか」「デザイン性」
- ママ向け表現のキャッチコピー
- 画像・動画・口コミを使用
1.画像は「子どもだけ」か「ママ+子ども」
サービスや商品をターゲットに自分事として認識させることで、認知につなげることができます。ママがターゲットの場合、子どもや親子のビジュアル(写真、イラスト等)を用いることでママが直感的に自分事ととらえやすくなるでしょう。ママ自身がサービス・商品と自分を無意識に結び付けやすくなるため、販促物や広告のビジュアルに子どもや親子の画像を用いることは有用です。
なおビジュアル面では以下の点にも留意が必要です。
- サービス・商品を利用しているシチュエーションごと表現する(人物に商品を持たせたり、サービスを使用させたりする)
- サービス・商品使用中・利用中の笑顔などの表情もセッティングする
- サービスや商品のターゲット層と合致するよう、子どもとママの年齢には注意して表現する
2.カラーは「暖色系」「柔らかく優しい色合い」「落ち着いた色」
AIでオリジナルのカラーパレットを生成するジェネレーター「ColorMagic」を使用すると、「ママ」「お母さん」という単語からは、上記画像の各色が出現します。
これらはあくまで単語から想起されるイメージカラーであり、ママ一人ひとりが好む色を定義したものではありません。ですが、ママ自身も「ママ」という単語には上記のカラーをイメージすることが多いはずで、ピンク~ラベンダーカラーや、スキンカラー~オレンジ系の暖色等の「暖色系」「柔らかく優しい色合い」「落ち着いた色」であれば、多くのママが自分事にしやすいといえます。
その中でサービス・商品のコンセプトカラーと合致するものを選定することをおすすめします。なおサービス・商品のメッセージ性によっては、暖色系ではない系統やモノトーン、ビビッドカラーなどからも検討することも必要です。
3.フォントは「繊細」「柔らか」「デザイン性」
これまでの弊社の経験から申し上げると、ママ目線を生かしたデザインでは、使用されるフォントに以下の傾向があります。無料・有料フォントを含めリサーチし、イメージに合うフォントがない場合は、改変可能なフォントを基にオリジナルの文字を作り出すことも検討しながら、イメージと合致するフォントを選ぶとよいでしょう。
▼ママ世代の女性が好みやすいフォント傾向
- 線が細く繊細なもの
- 丸みや曲線を強調したもの
- デザイン性の高いもの
- 手書きのもの
4.ママ向け表現のキャッチコピー
キャッチコピーはデザインの主軸となる一要素で、ママ向けの場合に必要なポイントとしては以下の4項目が挙げられます。詳しくは「ママ向けのキャッチコピーとは?子育てママに響く言葉や選ばれる工夫を紹介」にてご紹介しています。
▼ママ向けキャッチコピー作成時の注意点
- ママのターゲット属性を絞る
- ママの課題、悩み、ニーズを把握する
- ママに伝えたいメッセージや要素を絞る
- ママの4面性に配慮する
基本はママのターゲット属性を定めたうえで、課題・悩み・ニーズと、それらを解決できる解答でキャッチコピーを構成します。なお用いる単語は専門用語を避け、どの年代の方にも通じる分かりやすい言葉や数字を用い、端的に連ねましょう。
また文字数は、もっとも視認性が高いといわれる13文字前後で区切っていくと、余暇時間の少ない子育て期のママにもダイレクトに伝わりやすいはずです。
5.画像・動画・口コミを使用
ママがターゲットの場合、女性の消費行動において重要な「商品を使用した新しい生活が想起できること」「自分のための商品であると分かること(自分事化)」「ほかの人も使っていること」などがイメージできる画像・動画・口コミなどをデザイン要素に使用できると有用だと考えられます。広告クリエイティブの限られた面やスペースの中でも、先行購買者・利用者のリアルな体験談や商品レビューがあると、ママからの信頼度が増加します。
サービス・商品の使用感を明確にイメージさせることができるうえ、「ほかの人も使っていること」を直感的に伝達させることができます。なお、インフルエンサーやモニターを起用し体験レビューや写真等を回収、デザインに落とし込むことも有用です。弊社の過去実績では「ミズノ株式会社様」「ワタミ株式会社様」等がございます。
まとめ
以上、広告クリエイティブの基礎知識や、ママ向け広告を制作する上で大切にしたいことについてご紹介しました。
ママに訴求する広告クリエイティブは、ママが好む傾向のビジュアルやフォント、カラーをトレンドを踏まえ選別するほか、「ほかの人の体験談」等をデザインに落とし込むことが重要です。弊社では各種クリエイティブに複数のデザイン案を準備させていただき、ABテストやPDCAを行い、実際の効果測定を基に「クリエイティブの勝ちパターン」を確立し運用を展開しています。広告クリエイティブの制作や運用をご検討中の方は、お気軽にお問い合わせください。