用語解説
扶養とは
2021年6月23日
税制上・法律上の話にもよく挙がる「扶養」とは具体的にはどういうものなのでしょうか。ポイントを解説します。
扶養とは
扶養とは、年齢・障害・病気・失業などを理由に働くことが困難で資産が十分でないために自分ひとりで生活することが難しく、家族や親戚などから経済的な援助を受けることを指します。妻もしくは夫が配偶者の扶養に入る形が一般的に多いです。
日本の所得税や社会保険においては、扶養の有無に応じて、課税所得の軽減や家族分の保険料が免除される仕組みがあります。
所得税や社会保険とでは、扶養の対象となる家族等の範囲が異なるため注意が必要です。
所得税における「扶養」
所得税における扶養には、
- 配偶者控除(配偶者が対象)
- 配偶者特別控除(配偶者が対象)
- 扶養控除(配偶者以外の親戚が対象)
の3種類があります。なお、「扶養控除」の対象となるのは、6親等内の血族と3親等内の婚姻による親戚までとなります。扶養の対象となるのは、対象年の12月31日時点で16歳以上の親族に限られます。以前は16歳未満も扶養の対象でしたが、平成22年度の税制改正において年少扶養親族に対する扶養控除が廃止されたため注意が必要です。
扶養にする場合には原則同居をしている必要がありますが、親元から離れて生活をしている学生の場合には、同居をしていなくても生計を同一にしていると見なされ扶養にすることが可能です。
社会保障における「扶養」
社会保障の文脈での「扶養」範囲は、配偶者と3親等内の親族までとなります。しかし、法律上は家族ではなくても内縁関係の配偶者や亡くなった内縁関係の配偶者の親、または子どもまで扶養の対象とすることができます。内縁関係の配偶者を扶養とする場合は、「同一の世帯」として家計を共にしている状態を証明するために、被保険者と配偶者が記載された住民票が必要となります。
年齢は後期高齢者医療制度へ移行する75歳未満までと制限されています。
社会保険の扶養の対象となる収入基準額は年間130万円未満で、この金額を超えると扶養から外れて被扶養者ではなくなります。被扶養者でなくなると、所得税や住民税に関する要件が変わるため、税金の負担額が大きく変動する可能性があります。