用語解説
知的財産権とは
2021年6月2日
作り手となるクリエイターだけでなく、依頼・発注する側の企業としても理解しておきたい知的財産権。自分自身の作品の権利を守るため、また他人の権利を侵害しないためにも、基礎的な知識を身につけておきましょう。
目次
知的財産権は、創作物を「財産」として保護する権利
知的財産権制度とは、知的創造活動によって生み出されたものを創作した人の財産として保護するためのもの。特許庁では、知的財産権を特許権や実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権、その他の地域財産に関して法令により定められた権利または法律上保護される利益に係る権利と定めています。
知的財産とは、財産的価値を有する「情報」であり、決して「モノ」ではないということ。「モノ」のように利用されることによって消費されることがないため、多くの人が同時に利用可能で、容易に模倣されやすいという弱点があります。そのため、創作者の権利を保護するために、元来利用できる情報を、ある程度法律で制限しているのです。
知的財産権の種類はふたつ
知的財産権は大きく分けると、創作意欲の促進を目的とした「知的創作物についての権利」と、商標権や商号などの使用者の信用維持を目的とした「営業上の標識についての権利」のふたつです。それぞれの特徴を見ていきましょう。
知的創造物についての権利
代表的な特許権や実用新案権、意匠権は特許庁所管の産業財産権に属するものです。特許権は発明を保護するもので、出願から20年は保護の対象です。実用新案権は物品の形状などの考案を保護するもので保護期間は10年。意匠権は建築物や画像のデザインを保護するもので、出願から25年間は保護の対象となります。
有名な著作権も「知的創造物についての権利」に属するもので、創作者の死後70年間は保護の対象です。ほかには半導体集積回路の回路配置の利用を10年の間保護する「回路配置利用権」や、植物の新品種を25年間保護する「種苗法=育成者権」、そしてノウハウや営業リストの盗用など、不正競争行為は営業秘密不正競争防止法で規制されています。
営業上の標識についての権利
産業財産権に値する「商標権」は、商品やサービスに使用するマークを登録から10年保護するものです。また、商号を保護する「商法」や、著名な商標等の不正使用を規制する「商品等表示」、特性が産地と結びついている産品の名称を保護する「地理的表示」も、営業上の標識についての権利を主張するものとして存在しています。