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【2023年版】SGEとは?Google検索に生成AIが搭載!導入方法や活用事例を紹介
2023年10月25日
Googleが2023年5月に新たな検索機能として「SGE」を発表しました。
SGEはGoogle検索に生成AIを搭載し、これまでのオーガニック検索とは異なったアプローチでユーザーのニーズを満たしてくれます。
日本でも8月にSGEの試験導入が始まっているので、特にWeb関連の業務に携わっている人であれば知っておきたいところです。
この記事では、SGEの概要や導入のメリット、活用方法などについて解説していきます。
目次
SGE(Search Generative Experience)とは?
SGEとは、Search Generative Experienceの略称であり、ユーザーが入力したクエリに対して、生成AIを活用して情報を要約し検索結果として提示してくれる機能のことです。
要約された検索結果が箇条書きで見やすいようにまとめられ、情報の出典元やメディア情報のリンクも表示される仕組みとなっています。
SGEは、従来のようなオーガニック検索で表示されたWebページではなく、AIが独自に導き出した検索結果が上位に表示されます。
GoogleがSGEを導入した背景
2023年5月10日に行われたGoogleの年次開発者会議「Google I/O」で、Google検索を統括するバイスプレジデントのCathy Edwards氏は、SEGを導入した背景を以下のように述べました。
“「これらの新しい生成AI機能は、検索をよりスマートかつシンプルにする」「それはウェブ検索結果を整理する新たな方法で、ユーザーは有益な出発点を得られる」”
参照:グーグル、AI搭載した新たな検索エンジン「SGE」を発表|CNET Japan
Googleは、これまでクエリの理解やSEOでの検索結果の一覧表示など、多くの機能にAI技術を活用してきました。
しかし、ChatGPTやChatsonic (チャットソニック)など、コアなニーズに答えるツールの登場でユーザーが使うツールは変化しつつあります。
Googleは、これらの変化を受けてユーザーのさらなる利便性を向上させるために、生成AIを搭載したSGEを発表したのです。
SGEとBardの違いとは?
Googleは、SGEの他にもAI技術を用いた「Bard」と呼ばれるチャットボット型のサービスも提供していますが、この2つのサービスはどのように異なるのでしょうか?
Bardは、Googleが開発した大規模言語モデル(LLM)「PaLM2」をベースとしており、100以上の言語を理解して翻訳することができます。
また、日本語のダジャレやジョーク、なぞなぞといった高度な人間の質問を理解し、回答することも可能です。
つまり、Bardは対話に重きを置いた創作などを目的としたツールです。
一方で、SGEはBardのようなチャット形式のものではなく、あくまで検索体験の拡張を目的としています。
改良版MUM・PaLM2など複数のLLMを搭載し、ユーザーにとって最適な検索結果を提供できることを目指したシステムです。
ちなみに、Google検索担当ゼネラルマネージャーの村上臣氏は生成AIについて次のように話しています。
“生成AIを使うにあたって、さまざまな情報のニーズがあると思っています。そして、それを解決する手段は1つではないと思います。Bardはどちらかといえば直接LLM(大規模言語モデル)と対話をしながら使うツールで、ブレインストーミングのパートナーのように、クリエイティブなタスクに重きを置いています。SGEは、従来の検索の“正常進化”。今までお客さまが検索に期待してきたものの延長線上で、さらに良くするために何かができるかという思想で作っています。この2つはユーザーのニーズが異なると思っており、両方とも試験運用ではありますが、別のプロダクトとして作っています。”
参照:「生成AIがGoogle検索にもたらすものとは? 村上臣氏が語ったこと」|ケータイ Watch
以上のことから、BardとSGEはそれぞれ目的の異なるプロダクトであるといえるでしょう。
2023年8月30日から日本でもSGEの試験運用を開始!
SGEは、2023年5月10日に米国で発表され運用が行われてきましたが、8月30日から日本でも試験運用が開始されています。
日本での開始は、米国に続いて世界で2番目となる試験導入です。
既に試験運用から数ヶ月経過している米国では、表示内容やデザインなどが変更され改良が続けられています。
今後は日本でもユーザーの動向を見ながら、デザインや仕様の変更などが行われていく可能性は大きいでしょう。
参考:「生成 AI による検索体験 (SGE) のご紹介」|Google Japan Blog
SGEの通常搭載はいつから?
現時点では、米国と日本いずれの国でもSGEは試験運用の段階であり、通常搭載への移行予定に関しても公式には発表されていません。
ただ、米国版は2023年の12月、日本版は2024年2月にSGEの試験運用を終了することから、少なくともそれ以降に一般的に順次公開される可能性があります。
日本で年内の通常搭載はないと考えられますが、ひと足先に新しい検索体験をしたい方は、SGEを利用してみてはいかがでしょうか。
SGEを導入するメリット
SGEを導入するメリットは、以下の4つです。
それでは、各メリットについて詳しく解説していきましょう。
高い精度で会話形式の検索ができる
SGEは生成AIを搭載しているため、複雑な質問に対してもその内容を理解し、会話形式で検索する能力があります。
ユーザーがテキストで質問すると、即座に関連性の高い情報をAI生成で抽出し、知りたい情報を瞬時に提供してくれます。
また、会話形式なので追加でわからない情報を聞くことも可能です。
これまでのオーガニック検索では、ひとつずつ知りたい情報を調べる必要がありましたが、同一画面内で会話形式で質問できることで、ユーザーはより知りたい情報について深く理解することができるでしょう。
商品やサービスの比較がしやすくなる
SGEを導入することで、商品やサービスについて比較が簡単になります。
たとえば「プリンターを探しています」と入力すると、プリンターの商品を掲載しているページをまとめて表示してくれます。
検索結果に価格やスペックレビューといった内容の一覧が表示されるため、ユーザーは商品の比較がしやすいといったメリットがあります。
これまで商品を比較するには、ECサイトのページを複数開いて比較・検討する必要がありました。
SGEを活用することによって、ネットショッピングにかかる手間が軽減されるでしょう。
検索にかかる時間を短縮できる
SGEの導入により、これまで検索にかかっていた時間が大幅に短縮できます。
生成AIは、ユーザーの質問の意図や言葉を理解し、必要な情報を素早く収集します。
さらにSGEは関連性の高い情報を要約し一つのWebページにまとめてくれるため、ユーザーはより効率的に知りたい情報をインプットすることが可能です。
ローカル検索を効率化できる
SGEの活用で、ローカル検索がさらに効率化できます。
たとえば「東京の六本木で個室でランチができるお店を教えて」と入力すると、生成AIが条件に当てはまるお店の候補を、ジャンル別に店名表示してくれます。
また、条件に当てはまるまとめサイトのURLも記載されるだけでなく、「子ども用メニューはあるか」など、お店に聞かなければわからないような情報も効率よく調べることができるのがSGEのメリットです。
SGEを導入する際の注意点
SGEは新しい機能であり、かつ試験運用中のため、導入する際は、必ずしも正しい回答が得られるわけではないという点にご注意ください。
実際に、Googleも公式に生成AIが検索において正しく機能するとは限らないと公表しています。
“Google は、新しい生成 AI 技術を活用した検索体験を導入するにあたり、責任ある慎重なアプローチをとっています。生成 AI と LLM には既知の制限があり、検索が常に正しく機能するとは限りません。そのため、生成 AI による検索体験 (SGE) のモデルも、検索の高い品質基準を維持できるようトレーニングを続けており、今後もさらにアップデートをしていく予定です。”
引用:「生成 AI による検索体験 (SGE) のご紹介」|Google Japan Blog
しかし、上記にもあるようにGoogleは品質向上に向けたトレーニングを続けています。
また現段階では、全ての検索結果において生成AIによる回答概要を表示するのではなく、質問の種類や関連性に応じて機能しているのが特徴です。
そのため、生成された文章がどのWebサイトに紐づけられているのかを確認したり、該当する内容をさらに調べたりするというユーザーの工夫も必要になってくるでしょう。
SGEの導入方法(使い方)
SGEは、現段階ではSearch Labsの試験的取り組みとして運用されています。
実際に新しい検索体験を導入したいという方は、SGE試験運用版を有効にして体験してみましょう。ここでは、パソコン版でのSGEの導入方法を解説しています。
1.パソコンで Chrome を開く
まずは、パソコンで「Google Chrome」を開きます。SGEは、SafariやMicrosoft Edgeといった他のブラウザでは機能しないので注意しましょう。
Chromeをパソコンに入れていないという方は、下記のページからダウンロードできます。
2.「シークレット モード」をオフにして Google アカウントにログイン
SGEを使用する際には、シークレットモードは必ずオフにしてGoogleアカウントにログインしてください。
使用できるアカウントは、18歳以上の成人であることが条件です。また、登録できるアカウントの種類は自身で管理している個人に限定されています。
そのため、Google Workspace for Educationを含むGoogle Workspace アカウントでは利用できないので注意しましょう。
3.Googleの検索トップページにアクセス
アカウントにログインしたら、Googleの検索トップページにアクセスしましょう。トップページとは、Google Chromeを開くと一番最初に出てくる検索ページのことです。
また、他のタブを開いている方は画面右上の「+」マークを押して新しいタブでトップページにアクセスすることもできます。
4.ページの右上にある「Labs」 アイコン をクリック
Googleの検索トップページにアクセスしたら、ページ右上にある三角フラスコのマーク「Labs」のアイコンをクリックします。
5.SGE試験運用版を有効にする
アイコンをクリックすると、 以下のようなSearch Labsのページに移ります。
「SGEを有効にすると、検索時に表示されることがあります」の横にあるバーを有効状態にしましょう。
すると以下のような生成AIに関する利用規約が表示されるので、「同意する」をクリックします。
これで、SGEを利用する準備ができました。
6.普段の検索結果の上部にSGEが表示される
あとは、普段通りに検索すると検索結果の上部に生成AIが抽出した情報が表示されます。
2023年10月時点では、リスティング広告の下にSGEによる情報、その下にこれまでのオーガニック検索での結果が表示される仕様です。
また、検索内容によっては生成AIが機能しない場合もあります。SGEをオフにしたい場合は、「SGEを有効にすると、検索時に表示されることがあります」の横にあるバーを再びクリックすると無効状態になります。
SGEの活用事例を紹介
生成AIを搭載したSGEには、さまざまな活用法があります。
- 特定の場面で質問する
- 大まかな情報を検索する
- 商品の比較・検討基準を調べる
ここでは、SGEの機能を使った活用方法について解説していきましょう。
事例①特定の場面で質問する
SGEは、ある特定の場面に対して質問するのに有効です。
例えば「テレビが作動しない」「電車が止まってしまい、代わりの経路が知りたい」など緊急性の高い質問でも素早く情報をまとめてくれるため、対処法を検索するのに役立ちます。
最適な情報は、その時の状況やケースによって異なりますが、今後はAI生成の技術が高まるとともに、よりユーザーにとって必要な情報が提供されるようになるでしょう。
事例②大まかな情報を検索する
SGEは、大まかな情報を検索するのに適しています。
例えば、従来のオーガニック検索では知りたい情報に辿り着くまでに、キーワード複数を入れたり、類似サイトを比較しながら情報を得ていました。
しかし、SGEを活用すると、大まかな情報を入力するだけで関連する用語やキーワードを提供だけでなく、AIが生成した最適な回答が最上位に表示してくれます。
事例③商品の比較・検討基準を調べる
SGEは、ショッピングや商品の比較検討をするのに活躍します。
「スマートウォッチのスペックを比較したい」と検索すると、生成AIがスペックを比較する基準や項目を教えてくれます。
たとえば、メーカーや搭載されているOS、価格など多角的な面から選ぶ基準を提示してくれるので、ユーザーは理解しやすいでしょう。
また、スマートウォッチを比較できるようなWebサイトを表示してくれるなど、ニーズに合った情報から最適な商品を選ぶことができるでしょう。
まとめ
今回は、生成AI技術を搭載したGoogleの新しい検索体験「SGE」について解説してきました。SGEは、これまでのGoogle検索にはない会話形式での追加質問や、知りたい情報を複数のWebサイトからピックアップしてまとめてくれるといった機能があります。
現時点ではまだ試験運用ですが、生成AIによる検索が当たり前になる日はそう遠くないのかもしれません。この記事をきっかけにSGEに興味を持った方は、ぜひSearch Labsのページに行って体験版を試してみてはいかがでしょうか?
AIを活用したマーケティングにご興味がある方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
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参考記事:AIでマーケティングはどう変わる?AIを活用するメリットと注意点
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