ノウハウ
AIでマーケティングはどう変わる?AIを活用するメリットと注意点
2023年9月29日
最近は、ChatGPTをはじめ、さまざまなAIツールが活用されています。
AIに仕事が奪われるという言葉もよく耳にしますが、実際にAIでマーケティングはどう変わるのでしょうか。
本記事では、AIをマーケティングに活用するメリットや注意点を解説します。マーケティングにAIを活用した事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
AIマーケティングとは
そもそも、マーケティングとは顧客の要望などに応えて、売れる仕組みを作ることをいいます。つまり、AIマーケティングとは、通常のマーケティング活動にAI技術を活用することを指します。
マーケティング活動の内容は、多岐にわたります。たとえば、ニーズを把握するための市場調査や分析、商品の企画や開発、広告宣伝活動などです。
マーケティングでは多くのデータを取り扱うため、AIとの親和性が高いと言われています。最近では、どのようなシーンで、何のサービスを利用したのか、何がきっかけで購入に至ったのかなど、購買行動をデータ化することが可能です。
消費者の動きを把握することができるため、売上拡大などに向けて有効活用ができると期待されています。
マーケティングにAIを活用するメリット
マーケティングは、AIとの親和性が高いと言われています。しかし、実際にAIを活用した際のメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
AIを活用したメリットは、以下の通りです。
ここからは、それぞれのメリットについて説明します。
分析の効率化が可能
マーケティングに関する分析を行う場合、多くのデータを取り扱う必要があります。データを分析する前の市場調査はもちろん、顧客データの分類や分析、管理などさまざまな工数を踏まなければいけません。
分析作業を人力で行うと、かなりの時間がかかります。しかし、AIを活用することで、効率的な分析をすることが可能です。時短にもなるため、膨大なデータの分析はAIにお任せするのがおすすめです。反対に、人間だからこそできる企画の立案などに時間をかける方が成果につながります。
顧客ごとにコミュニケーションが可能
多くの企業が持つ課題の一つに「顧客ごとのコミュニケーションを提供すること」があげられます。しかし、顧客ごとのコミュニケーションを人的リソースで行うのは難しく、非効率な面もあります。
しかし、AIを活用すれば、顧客データの分析からパーソナライズ化した対応が可能です。
最近では、実際にチャットボットを活用して、AIによる顧客対応を行っている企業もあります。顧客の利用状況や行動パターンなども把握して適切な対応ができる点は、大きなメリットです。
人材不足の解消と人件費の削減
近年、デジタルマーケティングに精通した人材が不足していると言われています。マーケティングに関する人材が不足している場合、施策の立案や実行に時間を割けず、商機を逃してしまう可能性があります。
またその一方で、物価の高騰などを要因に多くの企業がコストカットを迫られています。しかし、多様な経費の中でも人件費については、なかなか削減が難しい部分です。
そこで、分析に関する工数など、代替できる業務内容をAIに代行し、人材不足の解消を図ることが期待されています。また、業務の効率化や生産性の向上なども見込めるため、人件費の削減にもつながります。
担当者を決めずに、誰でも業務でAIを使いこなせれば、分析作業に関しては属人化されることもありません。担当者がいなければ仕事が進まないような状況からも脱却が可能です。
マーケティングでAIを活用する際の注意点
マーケティングにAIを活用することには、多くのメリットがあります。しかし、同時に注意するべきポイントも存在します。
AIを活用する際の注意点は、以下の通りです。
AIによって人件費削減や人材不足が解消される可能性がありますが、導入するには維持コストがかかってしまいます。さらに、業務内容によっては、AIを扱える人材が必要になるケースもあります。
自社の運営に当てはめる場合は、どのような導入方法が最適なのかを見極めることをおすすめします。
リスクマネジメントが困難
AIの活用は、膨大なデータの分析を行うことが可能である一方、データ漏えいやセキュリティ対策が欠かせません。
一例ですが、AIが引き起こした事故などが発生した場合、これまでのリスク対策だけでは対応が難しいことが想定されます。サイバー脅威やセキュリティ違反など、さまざまなインシデント対応に関するマニュアルの作成が必要です。
AIを扱える人材が必要
AIの導入によって、人件費削減や人材不足は解消が期待されるものの、AIを扱うことができる専門人材が必要です。社内で教育する場合も、新たに人材を雇用する場合も、人件費や労力がかかってしまいます。
維持コストがかかる
AIを導入するためには、AIを扱える人材の採用費用だけではなく、AIツールやシステムの運用・管理などに維持コストがかかります。
また、運用が安定するまでは注視しておく必要があり、何か問題が発生した場合は人的リソースに加えて金銭面の負担もかかってしまうことを理解しておきましょう。
マーケティングに導入したAI活用事例
ここからは、実際にマーケティングにAIを活用した事例を紹介します。
事例では、企業の課題になっている「顧客とのコミュニケーション」をAIチャットボットで対応したり、インフルエンサーのキャスティングなど多様な事業にAIが活用されています。
今まで可視化が困難だったデータも分析できるため、ツールによっては実店舗の混雑状況や顧客データの把握なども可能です。顧客の購買行動を読み取り、店舗への流入や離脱のポイントなど、改善点を見いだすことにもつながります。
自社でのAI導入をご検討されている方は、本事例をぜひ参考にしてください。
チャットボットでの顧客対応
これまで老舗ブランドのニッセンでは、カスタマーサポートを電話やメールで行い、事業拡大と共にカスタマーセンターも増設していました。
しかし人材不足よる現場の混乱は深刻で、管理職も現場作業をしなければ通常業務が回らなかったそうです。
そこで、「人がありきの対策ではなく、コストパフォーマンスの高いITを活用してはどうか」という経営層の判断のもと、AIチャットボットを採用します。
導入した結果、従業員による問い合わせ対応が大幅に減少し、一部のスタッフは他業務を行うため部署移動ができるほど人材不足が解消しました。
カスタマーサービスに関するフロー内にAIを介入させることで、業務の効率化や人材の有効活用に成功しています。
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参考:RPAとの二人三脚により人的対応の大幅削減を実現 | 株式会社ニッセン | KARAKURI
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インフルエンサーのキャスティング
広告宣伝を行う際、インフルエンサーのキャスティングは重要ですが、どのように選定基準を定めるかが難しい場面もあるかと思います。
このような課題に対して、最近はAIとプロの目線によるキャスティングサービスが存在します。
インフルエンサーキャスティングの「Find Model」では、インフルエンサーのインサイトデータをもとに起用するインフルエンサーの提案をしてくれます。
インフルエンサーを起用し、広告運用をした結果、リーチ数や保存数がアップするなど、数字として成果を残すことが期待できます。
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参考:インフルエンサーキャスティング | Find Model
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参考:導入事例 | Find Model
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AIカメラで実店舗の混雑状況や顧客データを把握
そごう・西武は、AIカメラを導入し、品ぞろえや店舗レイアウトの改善、顧客体験価値の向上を図りました。
来店客の行動履歴から、目的を持った購入なのか、立ち寄った流れで「ついで買い」を行ったのか把握することができました。
将来的には、AIカメラで取得したデータだけではなく、購買データも組み合わせて、出店中のテナントにデータ提供を行うなど、新たなサービスも考えているそうです。
今まで可視化できなかったデータを数値として把握し、さまざまな改善に役立てることができている事例のひとつです。
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参考:そごう・西武がAIカメラ活用し来店顧客のフロアをまたいだ行動を分析、顧客体験価値の向上が目的
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参考:Actcastウェビナーvol.2「小売業界:そごう・西武様事例ご紹介」レポート
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今すぐ活用したい!おすすめAIツール
代表的なツールであるChatGPTをはじめ、最近はさまざまなAIツールが存在しています。
AIによって画像生成ができたり、GA4の分析ができるものなど、AIができることも多様化しています。
ここからは、今すぐ活用したい、おすすめのAIツールをご紹介します。ぜひ活用して、業務の時短や効率化に生かしてみてはいかがでしょうか。
ChatGPT
ChatGPTとは「OpenAI」により開発された、自然な会話が楽しめるチャット形式のAIサービスです。質問や相談などをチャット画面に入力すると、即座に返答してくれます。
ChatGPTは、ネーミング案の提案出しやFAQ作成などの作業が得意です。反対に、新たな情報をまとめるような作業には向いていません。しかし、うまく活用できれば作業の時短が可能です。
ちなみに、ChatGPTの詳しい活用方法については、他記事でも紹介しています。ぜひ参考にご覧ください。
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リンク:ChatGPT
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参考記事:ChatGPTを日本語で活用!使い方や注意点を徹底解説
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Stable Diffusion
Stable Diffusionは、入力されたテキストを参考に画像を生成してくれるAIサービスです。ハイクオリティな画像を数秒から数十秒で生成してくれます。うまく指示を行えば、どのような画像でも作成してくれるため、画像作成にかかる時間の短縮ができます。
Stable Diffusionは、無料で利用が可能です。現状は、画像によって商用利用が可能ですが、法律によって変わる可能性もあります。著作権を侵害しないためにも、画像を掲載するような場合は慎重に検討を行うようにしてください。
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リンク:Stable Diffusion — Stability AI Japan
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EmbedSocial
EmbedSocialは、SNS上の投稿からデータを収集し、連携を行うなどのサポートをしてくれるプラグインです。WebサイトにInstagramやX(旧Twitter)、TikTokなどの投稿を埋め込むことができます。
中でも、特徴的なのがAIによる画像採点です。SNSなどから収集した画像を、AIが採点を行い、スコアを参考に並び替えてくれます。抽出作業の自動化だけではなく「映え度」の高い画像を選定してくれるため、SNS上でのキャンペーンを行っている際に非常に便利です。
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リンク:EmbedSocial
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AIアナリスト
AIアナリストとは、AIがGA4(Google Analytics 4)のデータを元に、分析や改善点などの提案をしてくれるサービスです。
Google Analyticsの見方がわからない場合や、人材不足でデータ集計に時間が割けられないようなケースにおすすめです。サイトの特性に合わせて分析を行うことができます。
また、自動で重要なデータを可視化してくれるため、どのような施策を行ったら結果が出るかも教えてくれます。検証結果をワンクリックで確認できるところも魅力的なツールです。
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リンク:AIアナリスト
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まとめ
ここまで、AIをマーケティングに活用する際のメリットや注意点を解説してきました。
AIを活用することで、業務の効率化や人材不足の解消など、問題を解決することが可能です。しかし、その反面、AIを扱える人材を確保する必要が発生すること、AIツールやシステムの運用・管理に維持コストがかかることも覚えておかなければいけません。
特に、データ漏えいやセキュリティ対策など、リスクマネジメントが困難になる恐れもあります。さまざまなリスクに備えて、インシデント対応に関するマニュアルの作成が不可欠です。
良い点だけではなく、注意点も参考にしながら、社内へのAI導入について検討してみてはいかがでしょうか。