ノウハウ
TikTokビジネスアカウントのメリット・デメリットや運用時の注意点
2023年4月19日
TikTokには一般のユーザーが利用する普通のアカウントと、個人企業を問わずビジネスを目的として利用できるビジネスアカウントがあります。
本記事では、TikTokのビジネスアカウントのメリット・デメリットや運用時の注意点などを解説しています。TikTokの運用について理解を深め、企業のマーケティングにお役立てください。
目次
TikTokビジネスアカウントとは
TikTokビジネスアカウントは個人・法人を問わず、TikTokを本格的に利用したいというユーザーに向けて設けられているアカウント形態です。
一般的なアカウントとは異なりデータ解析ができるなど、ビジネス活動向けに機能が解放されていることが特徴です。
ビジネスアカウントを活用することで、自社のブランド価値を高め、ビジネスを加速させることが可能になります。
活用するメリットも多いですが、デメリットや注意点もありますので本記事でくわしく解説していきます。
TikTokビジネスアカウントの5つのメリット
まずビジネスアカウントのメリットからみていきましょう。
TikTokのビジネスアカウントを活用することで、下記5つのメリットを得ることができます。
- 投稿動画を項目ごとに分析できるようになる
- 動画視聴者のインサイト分析が可能になる
- アカウントのカテゴリーを指定することができる
- プロフィールに外部リンク等のビジネス情報を設置できる
- 動画ショーケースから動画のトレンドを掴める
ビジネスアカウントのメリットを知り、ビジネスアカウントを活用できるようにしましょう。
投稿動画を項目ごとに分析できるようになる
TikTokのビジネスアカウントを利用することで、投稿した動画をさまざまな項目ごとに分析できるようになります。
たとえばユーザーの性別や年齢、動画を見ている時間など、アカウント運用のターゲットとなるユーザーがどんな属性で、どのくらい反応をしてくれているのかなどを細かく分析できます。
ユーザーの属性や反応を元に動画を作成していくことで、より多くのユーザーに認知してもらえる可能性が高まります。
また動画作成だけでなく、キャンペーンや企画を立案する際にも役立つ項目が分析できます。
動画視聴者のインサイト分析が可能になる
2つ目のメリットとしてインサイトの分析が可能になる点が挙げられます。
インサイト分析は、TikTokの拡散の仕組みである「アルゴリズム」を理解するためにも非常に重要な項目です。
主に3つの機能があり、さまざまな指標を分析することができます。
- フォロワーの増減
- 動画の再生回数
- プロフィールの表示回数
フォロワーの増減機能では折れ線グラフでフォロワーの増減を確認することができるため、角度が大きくなっている点に注目して分析することがおすすめです。
該当の動画を特定し、良い点・悪い点を分析しましょう。
フォロワーの増加によっておすすめ欄への露出可能性が高まると考えられているため、いいね!やコメント・シェア数などにも関係する重要な機能です。
動画の再生回数機能では、ユーザーが何曜日のいつの時間帯に動画を視聴したのかを分析することができます。
時間帯を分析することで、運用しているアカウントのフォロワーのアクティブ時間を知ることができます。
フォロワーがアクティブな時間に合わせて動画を投稿できれば、フォロワーの目にとまる確率も高まります。
新しい動画に対していいね!やコメントなどのエンゲージメントが高いと、高い確率でおすすめ欄への露出可能性が高まります。
プロフィールの表示回数機能では、ユーザーによって自分のプロフィールが何回表示されたのかを確認することができます。
表示回数が多い=流れてきた動画を見てほかにどんな投稿をしているのか気になったということです。
アカウントの統一感が保たれていれば、フォローへと繋がる確率が高いためフォロワーの増減とともに表示回数を分析するといいでしょう。
アカウントのカテゴリーを指定することができる
3つ目のメリットとして、ビジネスアカウントにすることでカテゴリーを指定できることが挙げられます。
カテゴリーを指定することで設定したカテゴリーに興味のあるユーザーのおすすめに表示される可能性が高まるため、ターゲットとするユーザー層にいち早くリーチ可能です。
選択したカテゴリーと投稿内容を合わせることで、流れてきた動画からあなたのアカウント自体に興味を持ってもらえる可能性も高まるでしょう。
アカウントの作成前に運用の目的や投稿カテゴリーを決定しておくことがおすすめです。
プロフィールに外部リンクなどのビジネス情報を設置できる
通常アカウントでは外部リンクの設置に制限が設けられており、一定のフォロワー数に達しないと外部リンクなどを設置することができません。
しかしビジネスアカウントは制限なく外部リンクなどをプロフィールに掲載できるため、運用当初からサービスなどへの導線を設置することができます。
遷移先とTikTokで投稿している内容がかけ離れていると集客効果などは見込めませんので、最終ゴールを含めたアカウント設計が大切です。
動画ショーケースから動画のトレンドを掴める
ビジネスアカウントを利用すると、動画ショーケースという機能を利用することができます。
動画ショーケースではさまざまな動画クリエイターや企業がTikTokで投稿した動画のうち、人気のコンテンツがまとめられています。
動画ショーケースを利用することで現在のトレンドをいち早く掴み、バズる動画を予測できるかもしれません。
TikTokビジネスアカウントの2つのデメリット
TikTokのビジネスアカウントのデメリットは以下の2点です。
- 商用ライセンスが未取得の楽曲が使用できない
- 炎上リスクを考慮しなければいけない
商用ライセンス未取得の人気曲が使用できない
TikTokではさまざまな楽曲が著作権フリーで提供されているため、ユーザーは好きな曲を選択して動画に利用できます。
一般アカウントの場合には提供されている全ての楽曲を利用できますが、ビジネスアカウントの場合には利用が商用目的となるため、商用ライセンスを取得していない楽曲の使用ができません。
たとえバズっている楽曲でも、商用ライセンスが未取得の場合にはビジネスアカウントで利用できないため注意しましょう。
炎上リスクを考慮した運用をする必要がある
SNSを運用するうえで炎上リスクは避けては通れない問題です。
最近でもSNSで投稿された動画がニュースで取り上げられ、損害賠償請求レベルの問題になるなど一般のアカウントであっても炎上の危険性があります。
ビジネスアカウントとなると社名やブランドを背負う形での運用となるため、炎上した際の問題はより大きなものとなるでしょう。
炎上をきっかけに企業・ブランドイメージが下がってしまうこともあるため、運用の際には投稿するコンテンツのチェック体制や運用ルールの徹底が必要です。
マーケティングのために始めたTikTokで損害を被ってしまっては元も子もありませんので、しっかりと運用体制を構築しましょう。
TikTokビジネスアカウントの作り方
続いてはTikTokのビジネスアカウントの作り方を解説します。
ビジネスアカウントは下記の手順で作成しましょう。
※本記事ではモバイル版でのビジネスアカウントの作成方法を紹介
1.モバイル版のTikTokアプリをダウンロードして開く
2.必要情報を入力してアカウントを作成
3.プロフィール右上の三本線から「設定とプライバシー」をタップ
4.「アカウント」→「ビジネスアカウントに切り替える」をタップ
5.カテゴリーを設定したら作成完了
TikTokにて一般アカウントを作成→ビジネスアカウントに切り替えるという手順でビジネスアカウントを作成します。
ビジネスアカウントへは数タップで簡単に切り替えることが可能ですのでぜひ利用してみてください。
TikTokビジネスアカウントの運用ポイント
TikTokのビジネスアカウントを運用する際のポイントを6つピックアップしました。
- 毎日決まった投稿時間で前提条件を整えること
- ターゲット選定に合致する動画を作成すること
- 広告感を出しすぎない動画を制作すること
- オリジナリティのあるコンテンツを作ること
- ユーザーリアクションを喚起させる動画を作成すること
- 動画投稿とデータ分析、運用改善を継続的に実施すること
毎日決まった投稿時間で前提条件を整えること
ビジネスアカウントを運用する際には、日々数値を見ながら改善し動画の投稿を続けることが大切です。
投稿の際には、動画の投稿内容以外の部分で条件が異ならないようにしましょう。
たとえばA動画を20時に、B動画を10時にあげた場合、A動画の方が数値がよかったとします。
この場合、A動画の内容がよかったのか投稿する時間がよかったのか前提条件が違うためわからなくなってしまいます。
分析・改善の質を上げるためにも、毎日時間を決めて動画を投稿しましょう。
ターゲット選定に合致する動画を作成すること
作成する動画は、設定したターゲットに合わせて内容を決定しましょう。
TikTokの目的は運用するアカウントによってバラバラではありますが、それぞれにターゲットとするユーザー層があるはずです。
主婦、30代男性、企業の広報担当者など、ターゲットが求めている内容はバラバラです。
動画をバズらせアカウントを伸ばしていくためにも、ターゲットが求めている内容(ニーズ)を予測して動画を作成しましょう。
広告感を出しすぎない動画を制作すること
ユーザーは広告感を感じるとネガティブな感情を抱く傾向が高いです。
セールス要素の大きい動画が流れてくると、すぐにスワイプして次の動画を閲覧します。
動画の視聴時間を伸ばすためにも、広告感を前面に出さない動画内容を心がけましょう。
オリジナリティのあるコンテンツを作ること
すでにバズっている動画を真似することが近道ではありますが、あまりにもオリジナリティがなさすぎると全く反応を得られない場合もあります。
なぜなら、多くのクリエイター・企業が似たような動画を作成しているためです。
視聴者側に「またこの音楽でこのフォーマットの動画だ」と感じられてしまっては、
最後まで動画を見てもらうことができないため、完全に真似するのではなくオリジナリティを追加しましょう。
ユーザーリアクションを喚起させる動画を作成すること
TikTokのアルゴリズム上、動画に対するユーザーのリアクション(エンゲージメント)はとても重要な指標です。
そのため、ユーザーリアクションを喚起させる動画を作成することが求められます。
たとえば、「動画が良いと思ったらいいね!シェア」・「質問はコメント欄に」・「あなたはどう思った?」など、いいね!やコメント・シェアをしてもらえるように行動喚起をしましょう。
文言に合わせて動画の内容も作成する必要があります。
動画投稿とデータ分析、運用改善を継続的に実施すること
動画を投稿して終わりにするのではなく、投稿した動画のデータを分析し改善を進めながら定期的に動画を投稿しましょう。
TikTokに限らず情報発信を通じてマーケティングを行う場合には、継続的に発信を続けることがとても大切です。
ユーザーからは毎日この時間になったら投稿してくれるアカウントという認識が醸成されるとともに、アルゴリズムからもフレッシュなアカウントとして認識され評価が高まると考えられています。
たまたまバズってしまったという状況を狙うのではなく、論理的な運用のもとアカウントを伸ばせるようになりましょう。
TikTokビジネスアカウント運用が向いている企業
TikTokの運用は主要なユーザーが若年層になるため、企業や商品・サービスによってはあまり親和性がない場合があります。
TikTokのビジネスアカウントの運用が向いている企業の特徴を3つ紹介します。
若年層向け商品の代理店・または自社商品を販売している
TikTokのユーザー数は、2021年9月時点で全世界10億人を突破しており、2023年1月のデータによると約6割以上が18~34歳までの比較的若年層に当たる世代が占めています。
参考:TikTok公式サイト
画像引用:https://datareportal.com/essential-TikTok-stats
利用しているユーザーの過半数以上が若年層のため、若年層向けの商品・サービスを開発している企業や代理店はビジネスアカウントの運用に向いているでしょう。
中期目標として若年層からの認知度獲得をあげている
現時点でも若者にある程度認知されてはいるが、それ以上の認知を獲得したいという企業にもTikTokビジネスアカウントは向いています。
TikTokの主要なユーザー層は若者であることに加え、拡散力が非常に高いSNSだからです。
TikTokの拡散の仕組みでは動画の評価を獲得できれば、フォロワーが少なくとも大多数のユーザーにリーチできます。
企業の色を出しつつ若者に刺さる動画を投稿することで、中長期的に若年層からの認知度獲得を目指せるでしょう。
InstagramやYouTube等の複数媒体でのマーケティングを視野に入れている
TikTokはInstagramやYouTube・Twitterと連携できるため、複数の媒体でのマーケティングを視野に入れている場合にはビジネスアカウントの利用が向いています。
TikTokを皮切りにInstagramのリールやYouTubeショート動画が流行り、Twitterでもショート動画を投稿できる機能が追加されました。
TikTokであげた動画はほかのSNSと連携して投稿することもできるため、将来的にさまざまなユーザー層にリーチしていきたいという企業には、TikTokのビジネスアカウントがおすすめです。
TikTokビジネスアカウントの活用事例5選
TikTokビジネスアカウントを活用したマーケティングの成功事例を5社紹介します。
- コカ・コーラ
- UQモバイル
- ローソン
- AbemaTV
- PayPay
事例:コカ・コーラ
飲料メーカーであるコカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社は、TikTokハッシュタグキャンペーンを活用し「#リボンでありがとうチャレンジ」という企画を行いました。
楽曲「リボンでありがとう」を選択し「#リボンでありがとうチャレンジ」をつけて動画を投稿すると、100名様にQUOカードをプレゼントするというキャンペーンです。
選ばれた投稿は澁谷のスクランブル交差点で公開されるという特典もあったため、クリエイターをはじめ多くの一般ユーザーも参加し大成功を収めました。
事例:UQモバイル
モバイル事業を手掛けるUQモバイルは、ハッシュタグキャンペーンを活用し「#UQ三姉妹チャレンジ」を企画しました。
テレビCMの楽曲として使われていた「UFO」を使用したダンス動画に、「#UQ三姉妹チャレンジ」をつけて投稿するという企画です。
企画で選ばれた動画は公式ホームページと公式のSNSで発表されるなど特典がフックとなり、たくさんのユーザーが参加しました。
人気ティックトッカ―もチャレンジに参加したこともあり、多くのユーザーから注目され大成功を収めました。
事例:ローソン
ローソンは、ハッシュタグキャンペーンを活用し「#いつでもLチキチャレンジ」という企画を開催しました。
人気のホットスナックである「Lチキ」を使い、音楽に合わせてダンスする動画がバズりました。
オリジナル楽曲「いつでもLチキ」と「Lチキサイン」が可愛いと若者の間でバズり、ユーザーを巻き込んだ企画は大成功。
簡単に踊れることで真似するユーザーも多く、期間中にLチキを購入する人が増え売上も上がりました。
事例:AbemaTV
AbemaTVは「恋愛リアリティーショー」×「TikTok」を見事に成功させ、視聴率のUPに成功しています。
単に番組の切り抜きをあげてユーザーの興味を引くのではなく、「今日好きダンス」というダンス動画を作成するところから始めTikTok内での認知を獲得しました。
その後、今日好きダンスは「今日、君を好きになりました。」という番組から生まれたダンスであることを発表。
TikTok上のファンの興味関心を恋愛リアリティーショーに向ける取り組みを行い、視聴率UPを見事に成功させています。
TikTokのユーザー層をうまく捉えた企業事例として知られ、現在でもTikTokでは恋愛リアリティーショーをはじめ番組の宣伝が行われています。
事例:PayPay
キャッシュレス事業を手掛けるPayPayでは認知度拡大を目的として、ハッシュタグキャンペーンを活用し「#ペイペイちゃうやん選手権」という企画を実施しました。
芸人の宮川大輔さんを起用し、音楽に合わせてダンスを踊ったりツッコミを入れたりしている動画がバズりました。
宮川大輔さんという芸能人の起用によって多くのユーザーが企画に参加したことで、PayPayはサービス認知度の向上に成功しています。
事例:ドミノピザ
ピザチェーンのドミノピザは公式アカウントでピザ作りの裏側などをあげたことで、動画がバズり35万人以上のフォロワー獲得に成功しています。
ユーザーからの質問に答え実際に動画を作るなど、コミュニケーションを取りながら運用を進めたことで企業イメージの向上にも成功しました。
生地を作成する過程やユーモアあふれる音ハメ動画など、思わず見たくなってしまう工夫がそれぞれの動画でされていることが特徴です。
事例:メンズスキンケア BULKHOMME
メンズスキンケア事業を手掛けるBULKHOMMEは、「TikTok For Business」を活用して自社で広告配信を行いCPCの削減に成功しました。
成功するまでさまざまなクリエイティブを試した結果、1秒でも早くシンプルに訴求内容を伝えるという内容だったといいます。
参考:https://TikTok-for-business.co.jp/archives/6700/
まとめ
ここまでTikTokのビジネスアカウントについてデメリットをはじめ、運用のポイントや活用事例まで紹介しました。
TikTokのビジネスアカウントのデメリットとして一部楽曲が使えないこと、炎上リスクがあることが挙げられますが、ほかの発信媒体でも共通していますのでぜひ覚えておいてください。
本記事を参考に運用時は注意を払いながら、TikTokビジネスアカウントの活用を実践してみてください。