ノウハウ

【Web担当者必見!】CVの仕組みを理解してCRO(コンバージョン率最適化)を実施する方法

Time 2022年11月29日

 

Web担当者が耳にする「コンバージョン率最適化(CRO)」とは、サービスの目標(CV)に至る割合を最適化するWebマーケティングの施策を指します。今回はコンバージョン率(CVR)を最適化する方法について解説いたします。

 

Webサイトで継続的に成果を上げるために重要な指標が「コンバージョン(CV)」です。そして、このコンバージョンに至る割合(コンバージョン率:CVR)を改善することができれば、アクセス数を強化しなくともコンバージョン数は増加します。このコンバージョン率を最適化する施策を「コンバージョン率最適化(CRO)」といいます。

 

本記事では、コンバージョンの定義や種類の解説に加えて、記事の後半では「コンバージョン率最適化(CRO)で取り組む施策」をご紹介します。ぜひWebサイトの改善策の参考にしてください。

 

コンバージョン(CV)とは?

コンバージョンとは「成果につながるユーザーの行動」のことです。

 

コンバージョンは「変換」や「転換」を表す「conversion」という英単語に由来しています。Webサイトを訪問したユーザーが、特定のアクションを起こして「顧客に転換する」ことから、「コンバージョン」という用語が使用されています。

 

コンバージョンの具体例は「申込み完了ページへの到達」や「申込みや購入ボタンのクリック」などです。Google AnalyticsではWebサイト管理者が任意で選んだユーザーの行動を、コンバージョンとして設定できます。

 

コンバージョン(CV)とは?

 

上記の画像のように、成果につながるまでの1つひとつの行動を計測することで、「どの段階でユーザーが離脱しているか」を把握でき、効率的にWebサイトのCV数やCVRを改善できます。

 

Webサイトでコンバージョンを計測する主なメリットは、以下の通りです。

 

  • Webサイトの目標の達成度を可視化できる
  • 自社サイトの現状や課題を明確にできる
  • 主にコンバージョンが発生している流入経路を把握できる
  • 改善策の効果検証ができる

 

しかし、経験の浅いWeb担当者にとって「コンバージョンとして計測する指標」を決めることは容易ではありません。

 

そこでWebサイトの種類(業種)別に、設定すべきコンバージョンをまとめました。以下の画像を参考に、コンバージョンの計測や分析を始めましょう。

 

業種別のコンバージョン(CV)とは?

 

目的に応じたコンバージョンの種類

コンバージョンには、目的別でいくつか種類が存在します。コンバージョンの種類ごとの特徴や計測する目的を、以下の表にまとめました。

 

目的に応じたコンバージョンの種類

 

コンバージョンによる計測や分析を行う上で、コンバージョンの違いについて一通り把握しておきましょう。

 

1.直接コンバージョン

「直接コンバージョン」とは、Webサイトを訪問したユーザーがサイトから離脱せず、コンバージョンに至ることです。たとえば、Web広告からサービスや商品の紹介ページに到達して、そのまま購入に至ったケースが該当します。

 

直接コンバージョンの数が多い場合は、「購買欲の高いユーザー」や「すぐに悩みを解決したい緊急性の高いユーザーを集客できている」といえます。

 

ただし、直接コンバージョンに至るユーザーはそれほど多くありません。大半のユーザーは、以下で解説する「間接コンバージョン」に該当します。

 

2.間接コンバージョン

Webサイトの商品やサービスページを閲覧した後、一度サイトを離脱するユーザーが多くなります。なぜなら、他のWebサイトで類似商品との比較や、商品に対する疑問点について調べるためです。

 

Webサイトを一旦離脱した後、別のページを経由してコンバージョンに至ることを「間接コンバージョン」と呼びます。間接コンバージョンでは、コンバージョンに至るまでの「接点」や「流入経路」が指標となります。

 

3.クリックスルーコンバージョン

Web広告の効果を計測する指標が、「クリックスルーコンバージョン」や「ビュースルーコンバージョン」です。広告のクリックを起点として、ユーザーのコンバージョンを計測します。

 

広告をクリックしてサイトを訪問した後、ユーザーがコンバージョンをした時に、クリックスルーコンバージョンとしてカウントされます。クリックスルーコンバージョンは、広告による「顧客の獲得数」「広告の費用対効果」を明確にできる指標です。

 

4.ビュースルーコンバージョン

ビュースルーコンバージョンは、広告の間接的な効果を計測する指標です。

 

「広告を視聴したもののクリックはせず、その後一定期間内に別のページ経由でコンバージョンした」

 

上記の例のように、広告自体は経由していないが広告の視聴をきっかけに、最終的にコンバージョンにつながる場合を、ビュースルーコンバージョンと呼びます。

 

クリックスルーコンバージョンは広告の直接的な効果、ビュースルーコンバージョンは広告の間接的な効果を測定する時に役立ちます。

 

5.マクロコンバージョン

マクロコンバージョンとは、Webサイトの主な目的の達成時にカウントされるコンバージョンです。「サービスへの申込み」や「商品の購入」など、売上に直結するコンバージョンを指します。

 

マクロコンバージョンを測定することで、自社サイトを訪問するユーザーのうち「成果につながるユーザーの数」の把握が可能です。

 

6.マイクロコンバージョン

「Webサイトの目的達成までのプロセス」をコンバージョンとして計測するのが、マイクロコンバージョンです。

 

運営サイトの目的を「サービスへの申込み」とした場合、マイクロコンバージョンに該当するユーザーの行動は、以下の通りです。

 

  • サービス紹介ページへのアクセス
  • サービス資料のダウンロード
  • メルマガへの登録

 

マイクロコンバージョンの計測によって、「成約につながりやすいユーザーの経路」や「ユーザーが離脱するプロセス」を明確にできます。マイクロコンバージョンはプロセスを測定できるため、「計測に必要なコンバージョン数が足りない」という時にも役立ちます。

 

プロセスごとにコンバージョンの測定を行い、具体的なWebサイトの改善策を見つけましょう。

 

7.ユニークコンバージョン

ユニークコンバージョンとは、「自社サイトを訪問したユーザーがコンバージョンをしたかどうか」を計測する指標です。

 

仮に、複数の行動をコンバージョンに設定していても、ユニークコンバージョンとしてカウントされるのは最大で1回です。「PDFのダウンロード」などの、同じユーザーが何度も行ったコンバージョンでも「1」としてカウントされます。

 

そのため、ユニークコンバージョンでは「コンバージョンした人数」を正確に計測できます。

 

8.総コンバージョン

コンバージョンの回数をカウントできるのが「総コンバージョン」です。一人のユーザーがコンバージョンに設定した行動を3回起こせば「3」とカウントされます。「資料のダウンロード数」「商品の購入回数」「アプリのダウンロード数」などの、コンバージョンの回数を把握したい時に、総コンバージョンを使用します。

 

コンバージョンに関する用語

コンバージョンに関連する用語のうち、Webサイトの担当者の方が最低限知っておくべき用語は以下の5つです。

 

  1. 【CVR】コンバージョン率
  2. 【CRO】コンバージョン率最適化
  3. 【CPA】顧客獲得単価
  4. 【LPO】ランディングページ最適化
  5. 【EFO】エントリーフォーム最適化

 

各指標はアルファベットで表記されることも多いため、アルファベットと意味を合わせて覚えてください。

 

1.【CVR】コンバージョン率(Conversion Rate)

コンバージョン率とは、自社サイトを訪れたユーザーのうち「コンバージョンされたユーザーの割合」を表す指標です。CVRは「コンバージョン数÷セッション数(訪問したユーザーの数)」で算出されます。

 

​以下の例のように、たとえアクセス(セッション数)が少ない場合でも、CVRの向上によって、より多くの成約を獲得できます。

 

セッション数

コンバージョン率

コンバージョン数

A社のWebサイト

100,0000.5%500

B社のWebサイト

50,000

2.0%

1,000

 

このように、売上や顧客の獲得数に直結する数値であるため、Webサイトの運営では「CVR」の重要度が高くなります。​

 

2.【CRO】コンバージョン率最適化(Conversion Rate Optimization)

CRO(コンバージョン率最適化)とは、CVR(コンバージョン率)を最適化するマーケティング施策のことです。Webサイトやコンテンツの設計の改善や、ツールの導入によってコンバージョン率の最大化を目指します。

 

CVRを改善する具体的な施策は、以下の通りです。

 

  • 広告やキャンペーンの効果測定
  • 特定の期間(季節)での計測
  • 流入経路ごとの計測
  • コンテンツの改善前と改善後の比較検証

 

具体的な施策は後ほど解説します。

 

最近は、消費者がオンラインサービスを利用する機会が増えたことで、競合他社とユーザーを取り合う状況が生まれ、集客が難しくなっています。少ない顧客でも成約につなげるために「CRO」は重要視されています。

 

3.【CPA】顧客獲得単価(Cost Per Acquisition)

CPA(顧客獲得単価)とは、コンバージョン単価とも呼ばれ、「顧客一人や成約一件の獲得にかかる広告費用」を指します。CPAは「広告費用÷コンバージョン数」の計算式から割り出し、広告の費用対効果を把握することが可能です。

 

通常は広告を打つ前に「限界CPA(売上単価-原価-経費)」を算出します。限界CPAとは、「コンバージョン1件にかけられる広告費の上限」です。

 

CPAを計測しながら「広告を停止するか」「広告の運用を継続するか」を判断できます。

 

4.【LPO】ランディングページ最適化(Landing Page Optimization)

ランディングページとは「商品の購入」や「資料請求」など、ユーザーに行動を起こしてもらうことに特化したページです。「ランディングページからのCV率を上げるために改善を行うこと」をLPO(ランディングページ最適化)と呼びます。

 

ランディングページは売上や顧客獲得数に直結するページであるため、LPOは必須と言えます。ランディングページの改善施策例は以下の通りです。

 

  • ニーズに合ったコンテンツ内容や構成にする
  • 入力フォームを最適化する
  • 他のページへのリンクを減らす
  • 複数のパターンのランディングページを作成して比較検証を行う

 

解析ツールを駆使してサイトの問題点や改善点を見つけ出し、ランディングページからのCV数・CV率の向上を目指しましょう。

 

5.【EFO】エントリーフォーム最適化(Entry Form Optimization)

EFO(エントリーフォームの最適化)とは「問い合わせやサービスの申込み時に入力するフォームを改善すること」です。コンバージョンへとつなげるためには、ユーザーが使用しやすく、スムーズに申込みが完了できるエントリーフォームが求められます。

 

申込みや購入の意思があるユーザーでも「情報が入力しにくい」「確認画面でエラーが表示された」などの理由で、すぐにユーザーは離脱してしまいます。

 

ユーザーの離脱率を下げるために、入力必須の項目を減らしたり、入力の不備をリアルタイムで知らせたりして、エントリーフォームを改善することが重要です。

 

コンバージョン率最適化(CRO)で取組むべき4つの施策

コンバージョンを最大化させるためには、以下の4つの施策が有効です。

 

  1. ユーザーのニーズに合わせたコンテンツを作成する
  2. 確度の高いユーザーに広告配信を絞る
  3. Webサイトの導線を改善する
  4. エントリーフォーム最適化(EFO)

 

コンバージョン率最適化(CRO)で取組むべき4つの施策

 

上記の施策を実施するためには、Webサイト内のユーザー行動の計測や分析が可能な「Google Analytics4」が必須です。

 

Google Analytics4が未登録の方は、以下の記事を参考に登録を済ませましょう。

 

Google Analytics4は、SEO対策ツールである「Google Search Console」と連携可能です。Google Search Consoleでの分析を元に、サイトを改善することでアクセス数の増加を見込めます。

 

Google Search Consoleが未登録の場合は、以下の記事も合わせてご覧ください。

 

1.ユーザーのニーズに合わせたコンテンツを作成する

自社サイトを訪問したユーザーにコンバージョンしてもらうためには、大前提として「ユーザーのニーズを満たしたコンテンツを作成すること」が必要です。

 

広告費をかけて宣伝しても、ユーザーが求めるコンテンツがなければ、早々にページを離脱してしまいます。特に直帰率が高いページは、ユーザーのニーズとズレが生じている可能性が高いといえるでしょう。

 

コンテンツを設計する前に、自社サイトを訪問するターゲット像の選定を行いましょう。設定するターゲット像が明確であるほど、ユーザーに刺さるサイトやコンテンツを設計できます。

 

ターゲット像が決定した後は、ターゲットとなるユーザーが検索するキーワードを絞り込みます。キーワードの選定時には、GoogleキーワードプランナーやGoogleTrendを使用しましょう。

 

Google Trendは、「検索キーワードの需要の推移」をチェックできるツールです。現在の流行だけでなく、季節や期間ごとのニーズを確認する時に役立ちます。

 

Google Trendにアクセスし、検索窓に調べたいキーワード(複合キーワードでも可)を入力すると、以下の画面が表示されます。

 

GoogleTrend

 

GoogleTrend

 

過去5年間までの期間で自由に設定して、キーワードの需要の計測が可能です。

 

Google Trend

 

GoogleTrend

 

Googleキーワードプランナーは、ユーザーの関心が高いキーワードを見つける時や、キーワードの検索ボリュームや競合性などを確認する時に役立つツールです。

 

Googleキーワードプランナー

 

Googleキーワードプランナーは無料で使用できますが、無料の場合は「月間平均検索ボリューム」の数値が「100〜1,000」のように、おおよその範囲で表されます。少額でも広告を出稿すれば、正確な検索ボリュームが表示され、コンテンツ作りに活かしやすくなります。

 

Googleキーワードプランナー

 

ただし、トレンドや検索ボリュームは「コンテンツの設計を行う上での参考指標」ということは覚えておきましょう。大切なのはコンテンツを発信した後に効果検証を行うことです。

 

2.確度の高いユーザーに広告配信を絞る

確度の高いユーザーとは、「商品の申込みやメルマガの登録などコンバージョンにつながりやすいユーザーのこと」です。確度の高いユーザーを呼び込むことができれば、CV率が向上しやすく、CV数の増加につながります。

 

確度の高いユーザーを呼び込むためには、ユーザーの反応を確認しながら、広告を改善することが重要です。

 

ユーザーの行動の分析に便利なツールが「Google Analytics4」です。Google Analytics4の「エンゲージメント」という項目を中心にデータ分析を意識してください。

 

確度の高いユーザーに広告配信を絞る

 

GA4のエンゲージメントでは、「ページビュー」や「スクロール」「リンクのクリック」など、コンバージョンの前段階の行動を計測、分析できます。

 

「イベント」では、サイト運営者が任意で設定したユーザーの行動を計測可能です。イベントの設定は、Google Analytics4の「設定」>「イベントの作成」から行います。

 

確度の高いユーザーに広告配信を絞る

 

詳しいイベントの設定方法を知りたい方は、下の記事を参考にしてください。

 

3.Webサイトの導線を改善する

コンバージョンを増やすためには、Webサイト上で「どのようにユーザーを誘導するか」を設計することが重要です。サイト訪問から成約までの流れが設計されていれば、ユーザーが迷いにくく、コンバージョンにつながりやすくなります。

 

サイトの導線を見直すために、Google Analytics4の「経路データ探索」や「目標プロセスデータ」を活用しましょう。

 

経路データ探索では、「ユーザーのページ遷移を中心とした行動」をツリーグラフで表示します。「ユーザーがランディングページにどうやってたどり着いたか」「ランディングページにたどり着いた後、主にどのページが閲覧されているか」などを把握できます。

 

目標到達プロセスデータ探索では、特定のイベントやページ単位で、ユーザーの行動経路を分析します。特定のコンバージョンに至るまでの行動をステップに分けて測定し、「誘導したい流れでユーザーが行動しているか」や「どのプロセスでユーザーが離脱しているか」を確認しましょう。

 

Google Analytics4の「探索」をクリックすると、各テンプレートが表示されます。各探索レポートのデータを元に、Webサイトの導線を見直してください。

 

Webサイトの導線を改善する

 

4.エントリーフォーム最適化(EFO)

ユーザーの離脱率を改善し、コンバージョン率を高めるために「エントリーフォームの最適化(EFO)」を行いましょう。

 

「サービスの申込み」や「メルマガの登録」などのエントリーフォームの改善には、ヒートマップツールを使用しましょう。ヒートマップツールでの分析によって、エントリーフォーム上でユーザーが離脱する原因を特定できます。

 

ヒートマップツールとは、赤緑青などの色でユーザーの閲覧場所やクリックした箇所などを可視化するツールです。「どこまで入力されているか」や「どの項目で時間がかかっているか」を直感的に把握できるため、初めての人でも使用しやすいでしょう。

 

試しにヒートマップを導入される方は、無料で使用できるヒートマップツール「User Heat」がおすすめです。

 

まとめ

繰り返しになりますが、コンバージョンを獲得するためには「アクセス数を増やしてコンバージョンを増やす」「コンバージョン率を最適化してコンバージョンを増やす」2つの方法があります。

 

前者は、Web広告等でアクセス数を増やすことはできますが、費用がかかる上に配信するターゲットがずれてしまえばコンバージョン率の低下を招きます。

 

一方で後者は、Webサイト全体のコンバージョン率最適化を行いますので、アクセス数に変化はなくともコンバージョン率が改善されることでコンバージョンに至る件数は増えていきます。

 

このように、中長期でコンバージョン率を最適化することがWebサイトの運営において重要であることがお分かりいただけたかと思います。

 

コンバージョン率を最適化するためには「ニーズに合わせたサイトやコンテンツの設計」や「成約につながるユーザーの絞り込み」、「エントリーフォームの最適化」などの施策が効果的です。Google Analytics4やヒートマップツールを駆使して、Webサイトを改善しましょう。

マムズラボについて

マムズラボは、実務経験3年以上を有するプロフェッショナルが集まるクリエイティブ・マーケティングチームです。生活者目線と確かな経験・スキル、そして1,000名以上の圧倒的なリソースで貴社の課題解決を実現します。

プロジェクト実績

お問い合わせ先

仕事のご依頼・ご相談はこちらから