ノウハウ
ノーコード開発のデメリットとは?基礎知識~プラットフォームまで解説します!
2023年5月31日
ノーコード開発を活用すればプログラミングのスキル・知識なしでも、Webサービスやアプリケーションが開発できます。本記事ではノーコード開発についての基礎知識からデメリット、おすすめのツールまでを紹介します。ノーコード開発についての理解を深め、事業運営にお役立てください。
目次
ノーコード開発とは
ノーコード開発とは知識なしでも、Webサービスやアプリケーションの開発ができる開発手法です。HTMLやCSSなどをはじめとしたソースコードの記述が不要になるため、エンジニアでなくともサービスの開発ができるようになります。
現代で不足しているエンジニア人材を雇わずとも新しいサービス・アプリケーションが開発できるということで注目を集めています。
画像引用:株式会社ITR公式サイト
ローコードを含めたノーコード市場の市場規模調査では、2023年以降も右肩上がりで市場が成長していくことが示唆されています。IT人材の不足にくわえ、クラウドサービスの浸透やニーズの多様化・複雑化がノーコード開発に注目が集まる要因となっています。
ノーコード開発でできること、できないこと
ノーコード開発は、決して万能ではなくできることとできないことがあります。
- ノーコード開発でできること
- Webサービス・アプリケーションの開発
- 社内システムの開発
- スマホアプリの開発 など
ノーコード開発でできないこと
- 定型的でないアプリケーション開発
- オリジナリティの高いシステム開発
- さまざまな領域を包含するシステム開発
- 高速なアプリケーション開発 など
ノーコード開発では定型的なサービスやアプリケーションの開発は可能ですが、複雑かつオリジナリティの高いシステムやアプリケーションの開発ができません。エンジニアの業務を全て代替できるものではないということを知っておきましょう。
ノーコードとローコードの違い
ノーコードと並びローコードという言葉がよく使われますが、ローコードはできるだけソースコードの記述をなくした方法です。ノーコードは完全にソースコードの記述が必要ありませんが、ローコードの場合にはソースコードの記述が必要なため、一定以上のプログラミング知識が求められます。しかし、ソースコードが記述できることから柔軟性・拡張性はノーコードに比べて高いです。
ローコード開発とは?
ローコード開発とは、できるだけソースコードの記述をなくしたWebサービスやアプリケーションの開発手法です。ノーコード開発では実現できなかった複雑なシステム・アプリケーション開発も、ノーコード開発ならば実現できる可能性があります。
IT人材の不足などノーコードと同じような理由で注目されている開発手法です。
両者の特徴比較
ノーコード開発とローコード開発の特徴を比較してみましょう。
ノーコード開発の特徴
- 用意されている機能をカスタマイズしていく開発手法
- 完全にプログラミングの知識を必要としない
- 柔軟性・拡張性が低い
- 開発コストの削減が可能
ローコード開発の特徴
- 独自の機能を追加しながら開発できる手法
- 一定以上のプログラミング知識が求められる
- 柔軟性・拡張性が高い
- 開発コストの削減が可能
両者の異なる特徴としてプログラミング知識が求められるかどうか、それに伴った自由度の違いが挙げられます。どちらもフルスクラッチ開発(ゼロからソースコードを記述し開発する手法)に比べ、開発コスト(金銭的・時間的)が大幅に削減可能です。
自由度の高さを取るか、どんな人材でも扱える方法を取るか、顧客や自社のニーズに合わせて最適な手法を選択しましょう。
ノーコード開発のデメリット
ノーコード開発のデメリットは下記の3点です。
プラットフォームに依存してしまう
ノーコード開発を活用すると、プラットフォームに依存するというデメリットがあります。ノーコード開発を行う場合には、専用のプラットフォームを利用する必要があります。プラットフォームにもそれぞれ特徴があり、用意されていない機能は実装できません。そのため柔軟性・拡張性が低く、開発するサービス・アプリケーションはプラットフォームに依存してしまうのです。
プラットフォームのなかで、大きく差別化ができるような独自性を生むことは難しいでしょう。
機能制限があり拡張性が低い
ノーコード開発には、プラットフォームごとに機能制限があるため拡張性が低いです。ほかのシステムと連携したいといったことは実現が難しいでしょう。また、実装したい機能がない場合もあるためプラットフォームを選択する場合には注意が必要です。
ノーコード開発では、基本的に定型的な開発しかできませんので注意しましょう。
日本語情報が不足している可能性がある
ノーコード開発では日本語の情報が不足している可能性があります。なぜなら、ノーコード開発のプラットフォームはほとんど国外のサービスであるからです。日本語に対応していない部分も多く、翻訳しながら作業を進めていく必要があります。
またサポートを受ける場合でも、英語で問い合わせを行う必要がありますので注意しましょう。
ノーコード開発のメリット
ノーコード開発のメリットは下記の3点です。メリットを把握しノーコード開発の理解を深めることにお役立てください。
プログラミング知識不要で開発可能
ノーコード開発の最大のメリットは、Webサービスやアプリケーションの開発においてプログラミングの知識が不要になる点です。通常ではフルスクラッチで開発を進めていく必要がありますが、ノーコード開発を活用すればソースコードを記述する工程が不要となります。エンジニアとしてプログラミングの知識を持っていない人材でも開発ができるようになるため、既存のリソースでも開発が可能になります。基本的にはテンプレートを活用するため、ドラック&ドロップといった操作のみで開発が可能です。
開発コストを大幅に削減可能
ノーコード開発を利用することで、開発にかかるコストを大幅に削減可能です。
通常ではフルスクラッチで開発する必要がありますが、ノーコード開発ではある程度型が出来上がったものをカスタマイズしていく流れになります。そのため、通常ではかかるはずだった費用(外注費や採用費など)を削減可能です。エンジニアを雇うコストは高額なため、大幅な開発コストの削減が見込めるでしょう。
開発期間を大幅に短縮可能
ノーコード開発を利用することで開発コストにくわえ、開発期間も大幅に短縮できます。なぜなら、ある程度出来上がっているものをカスタマイズしていくため、フルスクラッチ開発に比べ工程が大幅に省略できるからです。また、用意されている機能を利用するため、動作の不具合なども起こりにくく修正の手間がなくなる点も大幅に期間を短縮できる要因。
期間を短縮できればそれだけ早くサービス・アプリケーションをリリースできるため、企業の成長という観点から見ても大きなメリットといえるでしょう。
おすすめノーコード開発プラットフォーム
おすすめのノーコード開発プラットフォームを用途ごとに2つずつ紹介していきます。
- Webアプリ開発プラットフォーム
Bubble(バブル)
Click(クリック) - スマートフォンアプリ開発プラットフォーム
Adalo(アダロ)
Glide(グライド) - Webサイト制作プラットフォーム
STUDIO(スタジオ)
Wix ADI(ウィックス エーディーアイ) - 業務効率化プラットフォーム
Airtable(エアテーブル)
Notion(ノーション)
Webアプリ開発プラットフォーム
Webアプリをノーコードで開発できるプラットフォームを2つ紹介します。
開発プラットフォーム名 | 特徴 |
Bubble(バブル) | ・開発できるアプリの幅が広い ・定型的なものだけでなく高度なアプリケーションも開発可能 ・難易度は高い ・日本語でも解説されている ・環境開発が要らない ・無料プランあり |
Click(クリック) | ・日本発のノーコードツール ・シンプルなUI/UX ・3,800以上のサービスと連携可能 ・データベースが使いやすい |
Bubbleは非常に人気の高いノーコード開発ツールです。ノーコード開発ツールでありながら、複雑なアプリの開発もできるためノーコードの弱みがカバーされています。比較的難易度は高めではありますが、日本語でも多く解説がされているため学習しやすいツールといえるでしょう。
Clickは、日本発のノーコード開発ツールでシンプルなUI/UXが魅力です。初心者であっても使いやすいデータベースや、多種多様なサービスとの外部連携が可能な点は大きな特徴でしょう。日本語で問い合わせができるため、運用で悩んでしまった時にも安心です。
スマートフォンアプリ開発プラットフォーム
スマートフォンアプリをノーコードで開発できるプラットフォームを2つ紹介します。
開発プラットフォーム名 | 特徴 |
Adalo(アダロ) | ・比較的難易度は低め ・アメリカ発のため日本語でのサポートは少なめ ・サーバー構築からアプリのリリースまで一貫して行える ・パワーポイントのスライドのような形で開発が可能 |
Glide(グライド) | ・モバイルアプリの開発に特化している ・簡単で初心者でも扱いやすい ・スプレッドシート上でデータベースが管理可能 ・テンプレートが豊富 ・無料プランあり |
どちらのプラットフォームでもネイティブアプリケーションの開発が可能です。ネイティブアプリケーションとは、App Storeなどのストア経由で配布しダウンロードしてもらうアプリを指します。
Adaloは、アメリカ発のサービスのため日本語でのサポートが少なめですが、比較的難易度は低めです。サーバー構築、データベース設計などの複数の工程が開発には必要ですが、Adaloはすべての工程を一貫して行うことができます。
Glideはモバイルアプリの開発に特化しているプラットフォームです。アプリ開発においてはデータベースの設計が難しいポイントですが、Glideではスプレッドシート上で管理できます。テンプレートも豊富なため、きっと求める内容が実装できるものを見つけることができるでしょう。
Webサイト制作プラットフォーム
Webサイトをノーコードで制作できるプラットフォームを2つ紹介します。
開発プラットフォーム名 | 特徴 |
STUDIO(スタジオ) | ・Webサイト制作に特化している ・自由度が高い ・デザイン性が高い ・学習しやすい ・サイト自体が非常に軽い |
Wix ADI(ウィックス エーディーアイ) | ・AIによってサイト制作が可能 ・簡単にサイト制作が可能 ・4,000以上の職種に合わせてサイト制作できる ・ロゴマークから配色を決定 |
STUDIOは、日本発のWebサイト開発プラットフォームなため、日本語での問い合わせが可能で問い合わせへの返信も早いです。Webサイトの制作ツールは機能制限があるものが多いですが、STUDIOは自由度がかなり高くデザイン性の高いサイトが制作可能です。共同編集も可能なため、複数の担当者が同時にサイト制作を進められる点も大きな魅力でしょう。
Wix ADIはWebサイト制作プラットフォームWixにAIが実装されたツールです。ADIとは人工デザイン知能を意味し、AIが自動でデザインを作成してくれます。AIがさまざまな場面でサポートしてくれるため、従来のWeb制作プラットフォームよりも大幅に工数の削減が可能です。
業務効率化プラットフォーム
業務効率化システムを、ノーコードで開発できるプラットフォームを2つ紹介します。
開発プラットフォーム名 | 特徴 |
Airtable(エアテーブル) | ・データベース管理に特化したプラットフォーム ・シートごとのデータ連携が可能 ・表示形式の切り替えが可能 ・拡張性が高い ・外部連携も可能 |
Notion(ノーション) | ・利用用途が幅広い - とくにメモ機能に特化している ・日本語にも対応している ・操作を覚える手間がかかる ・シンプルかつデザイン性が高い |
Airtableはデータベースの管理に特化したプラットフォームです。ExcelやスプレッドシートのようなUIでデータ管理ができます。これらのツールでもデータ管理は可能ですが、あくまで表計算ツールのためデータ管理に関してはAirtableの利便性には敵いません。拡張性も高く外部連携が可能なことも大きな特徴で、さまざまなデータを一元管理可能です。
Notionは海外発のプラットフォームではありますが日本語にも対応しています。メモ機能に特化していますが、機能が豊富なため利用用途が幅広いことが特徴です。利用用途が広い分操作を覚えるためには時間を要しますが、使いこなすことができればメモ機能に限らずさまざまな機能が利用できます。最近AIが実装されたこともあり、さらに利用の幅が広がっているツールです。
まとめ
ここまでノーコード開発についてメリットデメリットを含め解説いたしました。
ノーコード開発はプログラミングの知識が一切必要なく、開発コスト・期間を大幅に短縮できる開発手法です。近年のノーコード開発プラットフォームは、ノーコードのデメリットであった柔軟性や拡張性をカバーしているものも多く、今後もノーコード開発はさまざまな場面で利用されていくでしょう。
本記事を参考にノーコードツールへの理解を深め、自社の事業運営にお役立てください。
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