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未就学児ママの約8割が利用しているECモールは?利用状況アンケート

Time 2024年2月29日

 

近年ではコロナウイルス影響による外出機会減少などを経て、これまで以上にECモールの利用シーンが広がりました。特に、育児・家事・仕事の両立で時短欲求傾向が高い未就学児ママにとっても、ネットショッピングが欠かせません。

 

今回は、弊社で実施した未就学児ママへのECモール利用状況についてのアンケート結果を中心に、「EC市場の概況」と「未就学児ママのECモール利用状況」についてまとめました。

 

 

日本におけるEC市場の概要

 BtoC-ECの市場規模における全分野の経年推移

全分野 BtoC-ECの市場規模の経年推移

引用:経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 「令和3年度 電子商取引に関する市場調査報告書」より

 

令和3年(2021年)に経済産業省が調査した「電子商取引(EC)」に関する報告書によると、2021年の国内BtoC-EC市場規模は20兆6,950億円で、前年比で1兆4,171億円の増加となっています。

 

なお同年、令和2年(2020年)にコロナウイルス影響による外出自粛の広まりを受け、EC市場の全分野(物販・サービス・デジタル)合わせた市場規模が、初の20兆円を突破しています。令和3年(2021年)以降の外出自粛緩和以降でも、ECの市場規模は増加傾向にあります。

 

特に市場規模の成長を後押ししたのが「物販系」の分野です。反対に、令和2年(2020年)コロナウイルス影響渦で利用率が減った「サービス系」分野は、令和3年(2021年)には回復傾向にあります。

 

BtoC-ECの市場規模における物販系分野の実績とEC化率

物販系分野 BtoC-ECの市場規模とEC化率

引用:経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 「令和3年度 電子商取引に関する市場調査報告書

 

EC市場の「物販系」分野を直近10年で見てみると、市場規模としては毎年成長しています。

 

EC利用が浸透するなか、令和2年(2020年)コロナウイルス影響による「巣ごもり需要」によって大幅な市場成長となりました。EC市場の各分野の中でも、特に成長率が高いとみなすことができます。

 

物販系分野における分類毎の市場規模とEC化率

物販系分野 分類毎の市場規模とEC化率

引用:経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 「令和3年度 電子商取引に関する市場調査報告書

 

「物販系」分野の市場規模を商品毎に分類すると、特に「食品、飲料、酒類」、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」、「衣類・服装雑貨等」、「生活雑貨、家具、インテリア」の順で市場規模が大きくなっています。また、上記4つのカテゴリーだけで物販系分野の73%を占めています。

 

市場規模が一番大きい「食品、飲料、酒類」では、コロナウイルス禍以前には、買い物時間の短縮・家事の簡素化や、高齢者による買い物負担の軽減などが市場成長の背景に存在していました。

 

ただしコロナウイルス感染拡大以降、消旅行関連サービスや外食、習い事等の「コト消費」から、日用品・食品・家電等の物販系商材に代表される「モノ消費」に向け、消費構造がシフトしたと考えられています(※1)。なお令和3年(2021年)以降、コト消費からモノ消費へ回帰する動きが見られます。

 

サービス・デジタル系分野における、BtoC-ECの市場規模とEC化率

サービス・デジタル系分野 BtoC-ECの市場規模とEC化率

引用:経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 「令和3年度 電子商取引に関する市場調査報告書

 

「サービス・デジタル系」分野の市場規模は、令和元年(2019年)までは順調に伸長しているものの、コロナウイルス影響が増大した令和2年(2020年)に下降し、令和3年(2021年)に小幅ながらも昨対比増という結果になっています。

 

サービス分野における分類毎の市場規模とEC化率

サービス・デジタル系分野 分類毎の市場規模とEC化率

引用:経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 「令和3年度 電子商取引に関する市場調査報告書

 

コロナウイルス感染拡大により、「サービス系」分野における旅行・飲食・チケット販売等の各種サービス業は甚大な影響を受けました。

 

一方でフードデリバリーサービスは、コロナウイルス影響における宅食需要増加を受け、令和3年(2021年)に前年比37.48%増となっています。

 

デジタル系分野における分類毎の市場規模とEC化率

 

サービス・デジタル系分野 分類毎の市場規模とEC化率2

引用:経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 「令和3年度 電子商取引に関する市場調査報告書

 

「デジタル系」分野では、コロナウイルス影響における家中消費(イエナカ消費)増大により市場が拡大しました。オンラインゲーム、電子出版、有料動画配信、有料音楽配信等いずれも規模の拡大が見られます。

 

動画や音楽配信プラットフォームやゲーム等、各事業者サービス内で展開する無料プランにとどまらず、プラットフォーム内で有料メニューへアップグレードしたり、有料コンテンツを購入する等の傾向も高まったと考えられます。

 

25歳~44歳の未就学児ママを対象に、ECモールの利用状況に関するアンケートを実施

マムズラボでは、25歳〜44歳の未就学児ママ244人を対象に、ECモールの利用状況に関するアンケート調査を実施しました。

 

▼調査項目

  •  利用頻度が高いECモールの種類
  •  ECモールを利用する際のデバイス
  •  ECモールの利用頻度
  •  ECモールが利用される時間帯
  •  ECモールを利用する理由
  •  1回あたりのECモールの利用時間
  •  ECモールでよく購買されている商品

 

およそ86.9%が「ネットショッピングを利用している」と回答

 

 

質問1

 

25歳〜44歳の未就学児ママがもっとも利用しているECモールは?

質問2

 

今回の調査では、25歳〜44歳の未就学児ママの79.8%が「楽天市場」を利用し、67.8%が「Amazon」、次いで27.9%が「Yahoo!ショッピング」23.6%が「ZOZONTOWN」を利用していると回答しました。

 

「楽天市場」の利用率が高い要因としては、取り扱いジャンルのうち食品や生活雑貨に強く、ポイントをお得に貯められる仕組み(楽天経済圏)が構築されていることのほか、子育てママ・パパ限定の特典サービス(楽天ママ割)があるなどが理由だと考えられます。

 

ECモールアンケートイラスト

 

ECモールを利用する際の媒体は「スマートフォン」が96%以上

質問3

 

ECモールを利用する際は「スマートフォン」が96.3%でした。ほとんどの未就学児ママにとって、ネットショッピングはスマホ経由であることが一般的といえます。

 

ECモールの利用頻度「週に1回以上」が3人に1人

 

ECモールの利用頻度については「1日に数回」から「1ヶ月に1回」とさまざまですが、およそ3人に1人が週に1回以上、ECモールにアクセスしています。。

 

1日の中でもっともECモールが利用される時間帯は「20時~23時」

質問5

 

1日の中でもっともECモールが利用される時間帯では、「21:00〜22:00」が46.3%となりました。

 

次いで「22:00〜23:00」、「20:00〜21:00」となり、20:00〜23:00の時間帯に集中していることが読み取れます。

 

夕食後~子どもの寝かしつけの後に、自分の時間が取れたタイミングでECを利用する傾向があると推測できます。

 

 

ECモールを利用するもっとも多い理由は「いつでも利用可能だから」

質問6

 

ECモールを利用する理由では、「いつでも利用可能だから」という回答が最も高く、74.8%を占めました。

 

次いで、「送料無料になるから」が67.8%、「品揃えが豊富だから」が46.3%となっています。

 

未就学児の子育て中は、突発的な体調不良や突然のアクシデントなどが発生しやすく、規則的に時間を使うことが困難です。そのため、自分の時間が空いたタイミングで気軽に利用できるという点において、24時間365日運営しているECモールが重宝されていると考えられます。

 

ECモールの1回あたりの利用時間は15分程度

質問7

 

ECモールの1回あたりの利用時間では、44%が「〜30分」と回答し、42.2%が「〜15分」と回答しました。

 

買い物自体に長時間かけていないことから、購入候補品がある程度絞られており、限られた時間内で比較検討を行ったり、指名買いを行うなど、ピンポイントに活用していることがうかがえます。

 

ECモールで購入される割合が高いものは?

質問8

 

購入されるものの中でも購入割合が高いのが「日用品」で67%となりました。

 

次いで「衣料品、衣料雑貨」、「化粧品」、「キッチン用品、家庭用品」、「食品、飲料」の順で購入割合が高くなっています。

 

ふだんの暮らしにおいて欠かせない生活必需品が多くを占めており、単価が低く購入頻度が高い物がECモールで購入されやすい傾向にあります。

 

未就学児ママのECモール利用状況まとめ

未就学児ママ層は、時間や行動が制約されることが多くあります。行動心理的には時短欲求が強い傾向があるため、ECモールの活用率は非常に高い状況です。

 

具体的なECモールでは「楽天市場」と「Amazon」の利用率が高く、ほとんどがスマートフォンで利用しています。

 

また、もっとも利用されやすい時間帯は20〜23時で、5〜30分の時間幅での利用者が多数であり、購入品の内訳としては「日用品」や「衣料品」などが占めました。なお、高頻度で購入する生活必需品などはECモールで購入される傾向です。

 

未就学児ママ向けの商材をお持ちの企業・事業者様においては、ECモールでの商品展開は欠かせないとともに、各ECモールの特性ごとにアプローチする戦略を立案する必要があります。また、ECモール直下の記者サイトのデザインや構造などにも、ママ目線が必要なことも多くあります。

 

そのほか、本記事の調査結果のようなリサーチ等がご入用の場合、お気軽にお問い合わせください。

 

参考・引用
※1…株式会社 ニッセイ基礎研究所「商業施設売上高の長期予測(1)-コロナ禍で進んだ「コト消費からモノ消費へのシフト」と「ECシフトの加速」」