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景品表示法のポイントは?景表法をわかりやすく解説

Time 2021年5月24日

 

景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)の内容や目的をわかりやすく解説します。「知らないうちに違反していた」なんてことにならないよう、必ず知っておきましょう。

 

商品やサービスを販売するとき、「より多くのお客様に来てほしい」と自社の商品・サービスがすぐれている点を強調したり、特典をつけたり、値引きをしたり…。自社の商品やサービスを魅力的に見せるために、担当者のみなさんは日々工夫をこらしているかと思います。

 

しかし、その表示・表現の仕方は、法律を守れていると自信を持っていえるでしょうか?今回のテーマである景品表示法の内容を知らないままに販売促進活動を行っていると、気づかないうちに法律に違反している可能性もあります。

 

この記事では、担当者のみなさんが気になる景品表示法の内容、目的などについて、最低限知っておくべきポイントを解説します。

 

 

景品表示法とは

景品表示法は正式名称を「不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)」といいます。一般消費者の利益を保護することが目的で、その名のとおり不当表示や不当な景品による顧客の誘引を防止する法律です。

 

消費者は、より品質が良くより安いものを買い求めようとします。事業者側は消費者の期待に応えるために品質やサービスを向上し、できる限り低価格で販売しようと努力しているはずです。しかし、もし事業者が実際の商品よりも商品を良く見せかける大げさな表示をしたり、過大な景品をつけて販売したりすると、消費者はそれらに惑わされてしまい、適正な選択ができなくなってしまいます。実際には質の良くない商品やサービスを買ってしまい不利益を被る恐れがあるのです。

 

景品表示法は商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示することを厳しく規制するとともに過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額などを制限することで、消費者がより良い商品やサービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守るための法律です。

 

 

景品表示法違反となる「不当表示」とは?

景品表示法では消費者をだますような嘘や大げさな表示などを優良誤認表示や有利誤認表示として禁止しています。

 

1. 優良誤認表示

商品やサービスの品質・規格などを実際のものや事実よりも著しく優れていると偽って宣伝したり、特に優れているわけでもないのに競争業者の商品と比べてあたかも優れているかのように偽って宣伝したりする行為を優良誤認表示としています。

 

たとえば、次のようなケースです。

 

  • 実際のものより著しく優良であると示すもの

販売する中古自動車の走行距離を3万㎞と表示したが、実際は10万㎞以上走行した中古自動車のメーターを巻き戻したものだったケースが挙げられます。

 

  • 事実に相違して、競争事業者に係るものよりも著しく優良であると示すもの

予備校の広告で「大学合格実績No.1」と表示していたが、実際には他校と異なる方法で数値化し比較をしていたケースが挙げられます。

 

 

2. 有利誤認表示

商品・サービスの価格やその他の取引条件について、実際よりも有利であるかのように宣伝したり、競争業者の商品やサービスよりも特に安いわけでもないのに、著しく安いかのように宣伝したりすると有利誤認表示となります。

 

たとえば、次のようなケースです。

 

実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの

例として、通常価格を記載せずに「今なら半額」と表示していたが、実際は50%割引と認められない料金で仕事を請け負っていたケースが挙げられます。

 

競争事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの

例として、「他社商品の2倍の内容量」と表示していたが実際は他社と同程度の内容量しか入っていなかったケースが挙げられます。

 

3. そのほか不当な表示

優良誤認、有利誤認表示のほかにも、景品表示法に基づいて以下6つの表示が消費者に誤認を与える恐れがあるとして禁止されています。

 

  1. 無果汁の清涼飲料水についての表示
  2. 商品の原産国に関する不当な表示
  3. 消費者信用の融資費用に関する不当な表示
  4. 不動産のおとり広告に関する表示
  5. おとり広告に関する表示
  6. 有料老人ホームに関する不当な表示

 

どういったものが表示に該当する?

チラシ、パンフレット、容器、パッケージ、DM、ポスター、セールストークなど、顧客を誘引するために、事業者が商品やサービスの内容、価格等を消費者に知らせるための広告や表示全般を「表示」と定義しています。

 

ここまで優良誤認、有利誤認となる表示についてご紹介しました。意図的に表示をしただけではなく、単なる知識不足やミスで不当表示をしてしまった場合も優良誤認や有利誤認表示となり規制の対象になるので注意が必要です。企業で販売促進を行う際は、法律の内容をきちんとチェックしておきましょう。

 

では今度は、自社から売り出す商品ではなく、「景品」の場合の景品表示法違反についてご説明します。

 

 

景品表示法違反になる景品類とは?

商品やサービスに魅力的な景品をつけることは、集客率や消費者の満足度を高めるために効果的な方法です。しかし事業者が過大な景品を提供してしまうと、消費者は景品に惑わされ適正な選択ができなくなってしまう可能性があります。質の良くない商品や割高な商品を買ってしまうことで不利益を被るおそれがあるのです。

 

さらに、同業者間で過大景品による競争が始まると、商品・サービスそのものの品質を向上するための努力がおろそかになり消費者の不利益にもつながります。

 

このため、景品表示法では消費者が不利益を受けないよう景品類の最高額、総額を規制しています。

 

どういったものが景品類にあたる?

景品といえば粗品やおまけ、賞品などを思い浮かべる方も多いかと思います。

 

景品表示法上においては、

 

  • 事業者が顧客を誘引するための手段として
  • 商品やサービスの取引に付随して提供する
  • 物品、金銭その他の経済上に利益

 

この3条件が揃ったもの、すべてを景品としています。

景品類の種類によって以下3つに分類されています。

 

一般懸賞

商品やサービスの利用者に対し、くじの偶然性、特定行為の優劣等によって景品類を提供することを一般懸賞としています。

 

(例)

・抽選やじゃんけんなどによって提供

・パズル、クイズなどの回答の正誤によって提供

 

懸賞に係る取引金額景品類限度額
最高額総額
5,000円未満取引価格の20倍懸賞に係る売上予定総額の2%

 

 

共同懸賞

商店街や地域の同業者などが共同で景品類を提供する懸賞を共同懸賞としています。

 

(例)

・商店街が共同で実施する中元・歳末セール等

 

景品類限度額
最高額総額
取引価格にかかわらず30万円懸賞に係る売上予定総額の3%

 

 

総付景品

商品購入者や来店者に対し、もれなく景品を提供する景品を総付景品としています。

 

(例)

・申込みや来店の先着順にプレゼント

・来店者全員にプレゼント

 

取引価格景品類最高額
1,000円未満200円
1,000円以上取引価格の2/10

 

 

上記表のように、それぞれの景品類によって最高額、総額の限度額が定められています。過大な景品提供になってしまわないようチェックしておきましょう。

 

まとめ

ここまで景品表示法の、不当表示、景品類についてご紹介しました。「他社より優れている」「今だけ半額」「購入者全員に〇〇円相当のプレゼント」といったキャッチフレーズは、店頭や広告で目にすることも多いのではないでしょうか?「よく見かけるから」と安易に自社製品の宣伝文句として使ってしまうと、景品表示法に違反している場合もあります。

 

消費者庁から措置命令が出される…なんてことにもなりかねないので、商品やサービスを販売する際には不当表示や過大景品にならないよう細心の注意をはらいましょう。とはいえ、インパクトのあるキャッチフレーズやプレゼントは売り上げアップのために効果的です。自社商品を販売する際のセールスコピーや特典が「景品表示法を守れているかわからない」という場合は、景品表示法を熟知した広告代理店や制作会社に相談してみましょう。

 

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