ノウハウ
動画制作の流れや注意すべきポイントとは?
2023年4月25日
「プロモーション用に動画の制作をしたいけど、何から作業するべきか分からない」というお悩みを持つ方は多いのではないでしょうか。
動画を制作するためには、さまざまな工程があります。どのような内容にするのかなどを明確にしてから「企画・構成」→「シナリオ・コンテ作成」→「撮影」→「編集」→「音入れ」→「試写・修正・完成」の流れで制作します。
また、制作する動画が実写なのか、アニメーションなのかによっても制作フローが異なります。
本記事では、初めて動画を制作する方でもわかるように、動画制作の流れや注意するポイントを解説します。
動画制作の流れ・実写の場合
制作する動画が「実写」の場合は、一般的な動画制作の流れに加えて、モデルやタレントなどの選定、撮影地のロケハンなどの作業も発生します。
- キャスティング
- オーディション
- キャストの日程調整
- ロケハン
- 香盤表の作成
- 撮影準備
- ナレーション撮影
制作期間は、制作する動画の長さや内容、キャストや編集プロダクションなどのスケジュールによって変動します。最低でも1.5カ月〜3カ月はみておいた方がいいでしょう。
ここからは一般的な動画制作の流れに加えて、上記の作業についても合わせて解説していきます。
ヒアリング・打ち合わせ
動画を制作する場合、まずは「ヒアリング・打ち合わせ」から始めます。ヒアリング・打ち合わせの工程では、どんな動画を何のために制作するのかといった目的を明確にすることが重要です。具体的に制作前に確認しておきたい事項は以下です。
- 動画を制作する目的やゴール
- 制作する動画の内容(長さなど)
- ターゲット層
- 配信する媒体
- 動画の予算
- 動画の納期
これらの情報を参考に、企画の立案を行っていきます。
企画立案とKPIの明確化
「ヒアリング・打ち合わせ」で得た情報を参考に、次は「企画立案・KPIの明確化」を行います。動画のクオリティは企画立案で決まると言っても過言ではないほど重要な作業です。
企画立案とは、誰に、どんなメッセージを伝えるのか、企画の全体を貫くコンセプトを軸にアイディアを考える作業です。
動画のアイディアを具体的に落とし込む際に、ターゲット層に刺さるようなタレントやモデルのキャスティング案を考えたり、オーディションを行う場合もあります。
また、動画を制作して配信した後に達成したい目標についても明確にしなければいけません。商品の認知度を上げたいのか、企業理念などを伝えたいのか、販売促進を行いたいのかによって指標とするKPIが変わります。
ちなみに、KPIとは重要業績評価指標のことを指します。動画を配信し、達成状況を定期的に測定することで目標達成に向けた動向を把握できます。
動画の再生回数やインプレッション数、クリック率、コンバージョン数など動画を配信することで達成したい目標に合わせて指標とするKPIを明確にしましょう。
シナリオ・絵コンテ作成
企画案が確定したら、次はシナリオ・コンテの作成です。企画案で出たアイディアを具体的に台本や絵コンテなどの目にみえる形にする必要があります。動画制作の現場では、多くのスタッフが関わります。
そのため、台本や絵コンテはカメラマンやキャストなどの全スタッフが同じ方向性で制作するための役割を担います。
また、動画制作を制作会社に依頼する場合は、台本や絵コンテは制作会社が作成してくれるパターンもあります。その場合は内容を何度か確認し、数回の校正を経て完成させます。
台本や絵コンテが見えてくると、必然的に撮影地をどうするかが議題に上がると思います。
その場合、ロケハンも検討しなければいけません。
ロケハンとは、ロケーション・ハンティングの略称で、撮影地の下見を行うことを指します。下見をする際は、撮影が可能な場所なのか、撮影の許可取りなども進めなければいけません。
また場所の確認だけでなく、撮影する角度や光の入り具合は問題ないか、機材が置けそうかなど、実際に撮影できるかどうかの観点でもチェックすることが必要です。
動画撮影に慣れておらず、ロケハンが不安な場合はカメラマンなど制作陣にも同行してもらうのが安心かもしれません。
映像素材の撮影
台本や絵コンテが決まったら、撮影準備に入ります。撮影準備では、以下の作業が発生します。
- キャストの日程調整
- 香盤表の作成
- 撮影機材の手配
- 大道具・小道具(衣装や小物)の準備
- お弁当(ケータリング)の手配
香盤表とは、撮影時にスタッフやキャストの動きをまとめた資料です。つまり、撮影当日のスケジュール表を指します。香盤表は、スタッフやキャストの入り時間や撮影時間、移動時間などを加味して作成します。撮影をスムーズに行うためには必要不可欠な作業です。
香盤表が決まったら、撮影機材や撮影に使用する大道具・小道具(衣装や小物)、お弁当(ケータリング)などの手配にも気を配らなければいけません。
撮影機材はカメラはもちろん、レフ、照明、マイクなどの機材が必要です。作りたい動画によっては、ドローンやクレーンなど特殊な機材を準備しなければいけません。場合によってはレンタルして対応することもあります。
撮影準備が整ったら、実際に撮影に入ります。撮影は単純に動画を撮るだけでなく、カットに対してOKを出す人がいなければいけません。クライアントがいる場合は、必ず立ち会ってもらうようにしてイメージのすれ違いがないように注意してください。
動画は、撮影してしまえば後から修正がききません。完成後に修正指示が入った場合は撮り直しになる場合があります。その場合、もう一度機材をレンタルしたり、キャストやスタッフを収集することになるので費用が倍かかります。
クライアントには、撮影している動画の背景への写り込みは問題ないか、撮影角度に違いはないかなど、細かく現場で確認してもらうようにしましょう。
映像素材の編集と音入れ
撮影が終わったら、次は編集と音入れです。撮影した動画だけでなく、写真やロゴ、イラストなどを入れ込んで編集作業を行います。
編集時には、使用する写真やイラストの利用は問題ないか、ロゴなどのレギュレーションに違反していないかなどに気を配りながら制作します。
ちなみに、ロゴのレギュレーションとは、ロゴの縦横比率や色、余白(アイソレーション)などが細かく指定されている取扱説明書のことです。制作意図やニュアンスを崩さずに使用するために定められています。
また、編集時にはテロップ(字幕)やBGMの入れ込み作業も行います。台本によってはナレーション音源を使う場合もあります。その場合は、編集作業よりも先にナレーション撮影を行うとスムーズです。
試写・修正・完成
動画が完成したら、試写(プレビュー)を行います。クライアントがいる場合は、先方に動画を送って動画のチェックをしてもらいます。
動画全体の構成に問題はないか、テロップやBGM、ナレーションに修正がないかといった観点で今一度確認してもらいます。フィードバックがあれば、それをもとに修正作業を行い、何度かプレビューを繰り返して動画を完成させます。
動画制作の流れ・アニメーションの場合
制作する動画がアニメーションの場合、大まかな動画制作の流れは変わりませんが、実写の時の制作フローとは異なります。
実は、ひとことでアニメーションといってもさまざまな種類があります。以下はアニメーションの種類の一例です。
- キャラクターアニメーション
- ホワイトボードアニメーション
- パラパラ漫画
- 3Dアニメ
- タイポグラフィアニメーション
- インフォグラフィックアニメーション
アニメーションの種類によって費用の相場や制作期間が異なるため、ヒアリング時にどういう方向性のアニメーションにするか確認することが必要です。
ヒアリング・打ち合わせ
アニメーション動画も実写動画の制作と同じく、まずはヒアリング・打ち合わせからスタートします。実写同様に、どういったアニメーションを、何のために制作するのかといった目的を明確にする必要があります。
- 動画を制作する目的やゴール
- 制作する動画の内容(長さなど)
- アニメの種類
- キャラクター制作やナレーションの有無
- ターゲット層
- 配信する媒体
- 動画の予算
- 動画の納期
アニメーションの場合も、打ち合わせをした内容から企画の立案を行います。不明な点がないようにヒアリングしてください。
企画立案とKPIの明確化
打ち合わせ内容をもとに、企画の立案をします。アニメーション動画の場合は、作品を配信することで「何を伝えたいのか」を考えなければいけません。
クライアントには、アニメーション動画を制作して配信することで叶えたい目標があると思います。「作品を見た人にどういう行動を起こして欲しいか」も加味する必要があります。
また、実写動画と同様にKPIを定めてください。アニメーション動画も実写動画と同様に、何を目的として配信するのかを整理することが大切です。配信した後の目標に合わせて、指標とするKPIを明確にしましょう。
シナリオ・絵コンテ作成
企画案が固まったら、動画の構成をシナリオや絵コンテに落とし込みます。アニメーションの絵コンテに入れ込む要素は以下の通りです。
- 全体シーンの構図
- キャラクターの動き
- カメラワーク
- カットの秒数
- シーン番号・カット番号
- セリフ
- 効果音(BGM)の指定
絵コンテは、スタッフ間での相違がないようにアニメーション制作の軸を決める資料です。イラストで表現するだけではなく、文字で指示を書き込むこともできます。この段階で入れ込みたい指示や細かい説明がある場合は、絵コンテに記入しましょう。
映像素材・画像素材・音声素材の作成
絵コンテの作成が完了したら、映像に使う素材・イラストの準備に入ります。アニメーション動画は「キャラクター」、「背景」、「シーン」の3つの素材で成り立っています。
クライアントはそれぞれの素材を確認して、作品の世界観やテイストにズレがないかを確認します。
この時に気をつけたいのが、イラストが校了したにも関わらず、動きをつけたらイメージと違うためもう一度イラストに修正が入るといったパターンです。
アニメーションの種類によりますが、一般的なアニメーションは複数枚のイラストを動かして動画を作ります。動画にした後にイラストへの修正が入ると、すべてのイラストが書き直しになってしまいます。
そのため、クライアントに素材を確認してもらう場合は、動画にすると多少の変化があることを伝えるようにしてください。また、素材確認については細かくチェックしてもらうこともおすすめします。
そして、この段階でナレーション素材の準備をしたり、BGMを準備する場合が多いです。場合によっては、素材作成の段階で音声素材を当て込み、クライアントに確認してもらう方法もあります。必要に応じて音声素材の手配も行いましょう。
素材編集と音入れ
素材が完成したら、次は編集です。アニメーション動画の編集方法は、ソフトによって異なります。スマートフォンを利用して編集する方法もありますが、基本的にはコンピューターを使ってもとになるイラストをつなぎます。
編集はアニメーターが行うことが多いですが、動画のテイストによってはデザイナーがレイアウトなどを行う場合もあります。
編集作業と同時にBGMやナレーションなどの音声素材も入れ込んだら、クライアントに確認してもらいましょう。
試写・修正・完成
アニメーション動画が完成したら、クライアントに初稿として提出しましょう。フィードバックがあった場合は修正し、問題なければ完パケデータとして納品します。
完パケデータとは、「完全パッケージ」の略称です。映像や音声などが完全に仕上がっている状態のことを指します。
動画制作の流れで注意したいポイント
ここまで動画制作の基本的な流れを解説してきました。しかし、動画を制作する際には気をつけたい点がいくつかあります。4つのポイントに分けて紹介します。
企画立案段階で制作関係者全員のイメージを明確にする
前述しましたが、動画制作にはカメラマンやキャストなど、多くのスタッフが関わります。私用に自分だけで動画を制作する場合は問題ありません。しかし、チームで動画を作っていく場合は、制作関係者全員が動画の方向性や目的などを把握しておく必要があります。
企画立案時の企画書は制作者同士で共通の認識をすり合わせるための資料です。またシナリオや絵コンテも、その後の制作を円滑に進行させる役割があるため、なるべく共有するようにしましょう。
ターゲット層へのマーケティングを意識して制作する
動画を制作・配信するからには、クライアントの目的を達成するようにしなければいけません。そのため、制作する時はターゲット層へのマーケティングを意識することが重要です。
ターゲット層を意識することによって、キャスティングや動画構成案も変わってきます。動画を制作することで何を達成したいのか、目的やゴールから逆算して制作することが必要不可欠です。
動画制作後の修正がないように設計する
クライアントワークの場合、お客様の意向を反映しなければいけません。しかし、動画の場合は制作後に修正することが難しいケースが多いです。
実写動画の場合は、再度撮影をしなければいけません。アニメーション動画の場合は、素材の作り直しから作業しなければいけない可能性があります。2度同じ工程を繰り返すので時間がかかるだけでなく、倍の費用がかかるため注意が必要です。
予算管理とスケジュール管理を徹底する
動画制作は工程が多いため、制作期間は短くても1.5カ月〜3カ月程度かかります。また、場合によっては想定している予算を超えてしまうケースもあります。そのため、予算管理やスケジュール管理を徹底しなければ、希望の納期や予算内に納めることが難しくなります。
予算やスケジュールを検討する場合は、追加の修正なども想定してバッファを持たせることも視野に入れましょう。
また、制作会社に依頼する場合は、希望の納期や予算の上限を伝えることが大切です。クライアントには見積を提示する段階で説明し、理解を得ることでリスクヘッジできます。
動画制作にかかるコスト
動画制作にかかるコストはピンキリです。機材などが揃っていて自社で制作できる場合はコストが低めになります。一方、業者に制作を依頼する場合は撮影規模などで費用が変わるため一概にはいえません。
一般的に動画制作には、以下のコストがかかります。
- 企画費
企画書、台本、絵コンテの制作や進行管理費など - 人件費
制作スタッフ、カメラマン、キャストの費用 - 諸経費
機材費、素材制作費、撮影スタジオなどレンタル代など - 雑費
その他、撮影にかかる費用(ケータリングや小物代など)
ここからは、自社で制作する場合と制作業者に依頼する場合のコストを比較してみましょう。
自社で制作する場合
自社で制作する場合、制作業者に依頼するよりも比較的低コストで制作できます。動画の内容によりますが、スタジオレンタル代などの経費や外注費が発生する程度です。完全に内製できる場合は費用はかかりません。
しかし、機材を揃えるところから始める場合は、編集ソフトなどを一から揃える必要があります。撮影や編集を行うための機材購入・レンタル費用がかかるため、業者に依頼するよりも高くつく場合があります。
制作業者に依頼する場合
動画制作費用は、依頼する制作会社によってかかる費用が異なります。なぜなら、撮影の規模や動画の内容によって変動するからです。
安いケースだと、10万円程度で動画を制作してもらうことができます。しかし、演出にこだわったり、動画の尺が長いと100万円を超えるケースも多いです。
費用が想定よりも高い場合は、どこまでの作業を依頼するか調整することで、コストの削減につながる場合があります。たとえば、自社で撮影を行って素材を渡し、編集は業者に依頼するなどです。しかし、自社でやる分クオリティが下がったり、低予算で依頼をしたために修正は対応してくれなかったなど、受けたいサービスを受けられない場合もあります。
トラブルを回避するためにも、業者に依頼する場合は価格のみを見て依頼することは避けましょう。どんなサービスをいくらで対応してくれるのか、細かく問い合わせをすることが大切です。
検討する場合は、複数の業者から見積をとったり、見積内に不明な費用がないか確認してください。費用とサービスのバランスが良く、納得して料金を支払える会社を選定することが重要です。
まとめ
動画配信後、目標を達成できるような動画を作りたい場合は、目的やゴールから逆算して制作することが大切です。また、スムーズに動画制作を行うためには、関係者全員で動画制作に関する共通認識をすり合わせて制作することが必要不可欠です。
繰り返しになりますが、以下のポイントを抑えることで、スムーズな制作進行が可能になります。
- 制作関係者全員のイメージを明確にする
- ターゲット層へのマーケティングを意識して制作する
- 動画制作後の修正がないように設計する
- 予算管理とスケジュール管理を徹底する
基本的に動画の撮影は一発勝負です。撮り忘れなどで再度撮影を行うと、制作期間が伸びたり、費用が追加でかかります。そのため、動画制作時は企画段階から入念な準備が必要です。
本記事では、初めて動画を制作する方でもわかるように、動画制作の流れや注意するポイントを解説しました。参考にして、動画配信後の目標を達成できるような動画の制作にチャレンジしてください。