ノウハウ
ママ向けの販促戦略が重要な理由とマーケティングプロセスの基礎知識
2023年6月3日
商品やサービスを提供している企業にとって、マーケティング戦略を立てることは大切です。とくにF2層と呼ばれるママ世代の人たちはさまざまな商品のターゲットになりやすく、企業は商品の売れる仕組みを分析に基づいて作れると、より効果を感じられるようになります。
しかし、企業のマーケティング担当者のなかには「何から始めればよいかわからない」「この商品はママに訴求するのが良いのか?」と悩む方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ママ向けのマーケティング戦略として、ママをターゲットにする重要性とともにマーケティングの一連の流れを解説していきます。マーケティングプロセスを理解するためにも、参考にしてみてください。
ママ向けのマーケティング活動が重視される2つの理由とは
あらゆる商品のなかでもファミリー層に求められる商品やサービスでは、ママに向けてマーケティング活動を展開すると、売れる仕組みを作りやすくなるといわれていますがそれはなぜでしょうか。
ここからはその理由を解説していきます。
1.家庭で購入する商品の決定権をもつため
女性の場合、結婚や出産などの自身のライフステージの変化によって、思考が大きく変化するものです。とくに「F2層」と呼ばれる35歳~49歳の女性は、出産によって自身のファッションやメイクに対する興味が薄れていくといわれています。それが次はどこにシフトするのかというと「子ども・家族のため」を思った消費となります。
次第に家庭内でママが置かれるポジションが重要と化し、商品購入における決定権をもつようになり、そうした背景を考えると、マーケティングの対象をママにするのは、販売促進における効率のよい方法といえるでしょう。
以下は、ママに向けたマーケティングを検討すべき商品の一例です。
- 食料品・通販食品・健康食品
- ベビー・マタニティー用品
- 通信教育・習い事
- キッズ玩具
- 通販化粧品
- 保険
これらの商品では、よくママ目線の広告が掲載されているのを目にする方も多いと思います。特にママはスキマ時間にスマートフォンを利用して興味のあることを検索するケースも多く、Web広告を活用したマーケティング施策を打つ企業が増えています。
2.高額消費が増えるため
前述のとおり、ママは自身のことよりも家族を優先にした消費が活発です。家族のためを考えて投資を始めたり、子どもを習いごとや塾に通わせたりもするでしょう。家族が増えれば、マイホームの購入や家具や家電の買い替えを検討するケースもあるかもしれません。
以上のようなママの検討範囲には、高額消費につながるものも多いと思われます。出産後、家事や育児を分担する夫婦は増加傾向にありますが、子育てや家庭に必要なモノは、どんなに高額でもママが消費の決定権をもつことも珍しくありません。そのような状況を踏まえ、多くの企業が効果的に売り上げを伸ばすために、ママに対するマーケティング施策を考案しています。
ママ向けのマーケティング戦略で必要なこと
では、ママに向けたマーケティング戦略において、具体的にどのようなことが必要となるのでしょうか。ここでは、ママに対するマーケティング施策を考える際に、押さえるべきポイントを解説していきます。
ママが興味を抱く商品・サービスに着眼する
先ほどママ訴求するケースが多い商品の一例を紹介しましたが、それらの共通点はどれも「ママが興味を抱く商品やサービス」であることです。ママに向けたマーケティング戦略を打ち出す際、どうすれば売り上げアップにつながるのかではなく、どのような商品を打ち出すのかという点から開始していると考えましょう。ママの心に刺さる商品・サービスに着眼して商品・サービスの開発を進めるのが大切です。
子どもの年齢に応じてターゲットを絞る
ママに向けたマーケティングを行う際、子どもの年齢に応じてターゲティングすることも大切です。どの家庭でもママの消費権限が強いことは変わりないのですが、そのすべてに同じ打ち出し方をしても効果を得られません。子どもの年齢に応じてファミリーの特性が変化することを考え、適切なターゲット設定のもとで販売戦略を立てることが大切です。
よく子どもの玩具のパッケージに「××歳以上」と記載してあるのは、ターゲティングのひとつともいえます。もちろん、適切に遊べる年齢を明確にするためという目的もありますが、購入する保護者やママに向けた訴求効果を高めるためとも考えてよいでしょう。
ママの悩みに寄り添う
とはいえ、すでに商品・サービスの開発が済んでおり、効果的な販売方法や広告について検討する企業も多いはずです。このタイミングでのマーケティング戦略では、ママの悩みに着眼して打ち出し方を考えられるとよいでしょう。
たとえば、ファミリー層をターゲットにした子育てイベントを開催する場合、ママの悩みの解決を図るさまざまな選択肢を挙げられると、より多くのママやファミリーを集客できると思われます。イベント内容の一例に挙げられるのは、以下の項目です。
- 子どもの夜泣きを軽減させる育児方法
- 子どもの好き嫌いをなくす育児方法
- 子どものトイレトレーニング講座
- 子どもの体力づくり講座
- 子どもの習い事講座 など
また、イベントでは兄弟児を連れてきても大丈夫なようキッズスペースの用意があることや、おむつ替えやミルクをあげるのに困らない空間があることを主張できると安心するママは多いでしょう。たった1回のイベント参加でも、ママが抱える悩みは多岐にわたります。
それらの多くを網羅する打ち出し方ができれば、ある分野で独自性を獲得できたり他社との差別化を図れたりできるかもしれません。その結果、より多くの集客が見込めるはずです。
ママのライフスタイルを意識する
ママに訴求するなら、ママのライフスタイルを意識したマーケティング戦略は欠かせません。近年は共働き世帯が増加しているため、家事・育児・仕事を担う忙しいママに対して、確実アプローチできる方法を検討すべきです。
厚生労働省が2022年に公表した統計データによると、日本における2021年度の共働き世帯数は、以下のようになっています。
妻が専業主婦…566万世帯
共働き…1,247万世帯
以上を踏まえると、ママ向けのマーケティング戦略を考案する際は、ママがすきま時間にチェックできるような広告の制作や、閲覧される可能性の高い媒体をセレクトする必要があるでしょう。ママのライフスタイルを考慮した施策を打てると、より効果を感じやすくなると思われます。
【参考記事】
共働き等世帯数の年次推移|厚生労働省
以上のようにママに対するマーケティング戦略を考案する際は、ママに支持される商品を考えるところからスタートし、明確なターゲット設定や独自性や適切なプロモーション活動によって売り上げが伸びていくと思われます。頭で考えるのが難しければカスタマージャーニーマップなども活用すると、集客から販売までの適切なマーケティング手法を見出せるはずです。
販促に欠かせないマーケティングプロセスと基礎知識
マーケティング戦略を立てる際は、思いつくままに案を出しても意味がありません。必要な情報を集め、分析することでより効果の高い戦略を打ち出せるようになります。
以下は、販促の成功に欠かせないマーケティングの手順です。
- 市場調査
- セグメンテーション
- ターゲティング
- ポジショニング
- マーケティングミックス
- 戦略の実行・評価
これらのマーケティングプロセスを理解し、ママに向けた販促を成功につなげましょう。
STEP1.市場調査
マーケティングを行う場合、まずは自社商品を打ち出す業界の市場を調査することからスタートします。その際に用いられるフレームワークには、たとえば以下のようなものがあります。
フレームワーク | 特徴 |
SWOT(スウォット)分析 | 「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4点から自社の商品を分析する手法。収集した情報をもとに戦略の策定・経営資源の最適化などを行う。 |
PEST(ペスト)分析 | 「政治(Politics)」「経済(Economy)」「社会(Society)」「技術(Technology)」の4点から自社商品の外部環境を分析する手法。現状把握・今後の戦略の考案に活用できる。 |
3C(スリーシー)分析 | 「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3点で競合を調査する手法。客観的事実を収集し、成功法を見出すことに活用できる。 |
上記を参考にし、以下の点を調査してみましょう。そして、「他社に勝るポイント」や「市場で求められるもの」などの要素を適切に収集し、分析を図ります。
STEP2.セグメンテーション
市場調査が完了すれば、収集した情報を細かく分類していきます。これを「市場の細分化」ともいい、自社のビジネスをうまく展開するにはどこをねらうのが良いかを見つけるのに活用できます。以下は、分類項目の一例です。
- 消費者の年齢
- 消費者の性別
- 消費者の職業
- 消費者のニーズ など
より細かい部分までグループ分けできれば、市場で求められるものがより明確に見えてくるでしょう。
STEP3.ターゲティング
ターゲティングでは、STEPの2グループ分けによって明確となった市場におけるニーズを考え、自社商品が求められるであろうポイントを設定します。すなわち、ターゲットを絞るということです。別名「市場の絞り込み」「標的市場」などともいわれます。
このとき、以下に挙げる「6R」を考えられると、ターゲットをより明確にしやすくなります。
- 市場規模(Realistic Scale)
- 競合(Rival)
- 顧客の優位順・波及効果(Rank/Ripple Effect)
- 成長性(Rate of Growth)
- 到達可能性(Reach)
- 反応の測定(Response)
競合の配置などを考えながら、誰に自社商品を販売するのか決まれば、適切な商品・サービスの開発が可能となるでしょう。
STEP4.ポジショニング
ターゲットを設定できれば、その市場内で自社商品をどこに配置すれば他社との差別化が図れるかを考えましょう。これを「ポジショニング」といいます。ここでは消費者視点になって考えるのが大切で、他社とかぶらないポイントをセレクトできれば、自社商品の認知度向上にもつながります。
もし難しく感じるようなら、重要度・独立性の縦軸・横軸で構成した「ポジショニングマップ」を用いると、市場に存在する各社の位置付けがわかりやすくなるでしょう。最終的に競合とかぶらない位置に自社をポジショニングできると、差別化や独自性を打ち出しやすくなります。
STEP5.マーケティングミックス
自社商品の立ち位置を確定できれば、ターゲットにした顧客へアプローチする方法を定めるのみです。このとき、以下のフレームワークを活用できるとよいかもしれません。
フレームワーク | 特徴 |
4P | 「Product(製品)」「Price(価格)」「Promotion(広告)」「Place(流通)」の4点からアプローチ方法を検討する手法。 |
4C | 「Customer Value(顧客価値)」「Cost(コスト)」「Convenience(利便性)」「Communication(対話)」の4点からアプローチ方法を検討する手法。 |
主に用いられるのは「4P」ですが、近年は顧客の立場になって考える「4C」を重視する企業も増えつつあります。
STEP6.戦略の実行・評価
戦略を立てた後、ようやく施策を実行に移します。このとき「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(測定・評価)」「Action(対策・改善)」から成る「PDCAサイクル」を意識するのが大切です。
戦略を実行した上で、どのような効果を得られたのか分析しましょう。また問題点が見つかれば、改善に尽くすことが打ち上げアップを図る成功の近道となります。
以上のように、マーケティングは上記で挙げたそれぞれのプロセスを確実に踏むことで、成功に近付けるものです。競合の多い市場へチャレンジする場合は、分析だけでもかなりの時間を要することになるでしょう。
ママをターゲットにした商品は多く存在するため、より効果的なマーケティング戦略を打ち出すためにも、家庭の状況を細かく分析した上でファミリーの傾向や特徴を押さえることが重要となります。
まとめ
以上、ママ向けのマーケティング戦略やマーケティングの一連の流れについてご紹介しました。
ママに向けたマーケティング戦略を考える際は、ママの置かれている状況や悩みなどの周辺環境を分析した上でアプローチ方法を考案できると、期待以上の効果を得られる可能性があります。本記事で紹介したポイントを参考に、ママ向けのマーケティング戦略を進めてみましょう。
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